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『彼女は、優しい娘だ。ポケモンを愛しポケモンに愛される。彼女の元にいるポケモンはアイビーのことを心の底から愛している、同時にアイビーもまた、心の底からポケモンを愛している』

『それは、素晴らしいことです』

『嗚呼素晴らしい、俺も思う。だが娘はポケモンを“愛し過ぎて”いる。ポケモンが傷付くのを見るのを嫌がる。バトルで負けた時は、精神的にとてもまいる。“愛する者を自らの手で殺した”ような錯覚に陥るからだと、娘は俺に説明した』

『それは……』

『……だが、オレの目には、あの子がバトルを楽しんでいるように見えたぜ。それにポケモンも』

『バトルを楽しんでいる、それは事実だ。自分が“勝者”であるうちは、彼女はバトルを楽しめる。それは人間としての本能だ。だが“敗者”となった途端、自責の念に苛まれる。——つまりね、ダンデさん。それにキバナさん。娘はまだ多感な時期だ、精神的にも少し不安定な面がある。俺はゆっくり、アイビーのペースで、世界を知り物事を知りアイビー(自分自身)を知っていけばいいと思っている。時折バトルをしながら、勝利の楽しさも敗北の悔しさも学んでいけばいいと思っている。だから、彼女にジムチャレンジを勧めるつもりは無い。ジムに挑戦するには、娘はまだ幼い』

『それは、父親(アンタ)が決めることじゃないだろ』

 キバナは反論を続けた。だが二の句を継ぐより先に、部屋の扉が開く音がした。続いて誰かの入ってくる気配。廊下の方を見れば、暗がりになっているそこに少女が立っていた。ホテルが用意した使い捨てのスリッパの踵を鳴らしながら此方へと歩いてきた亜麻色髪の少女——アイビー本人だ。

『アイビー、もう大丈夫なのか? まだ寝てていいんだぞ?』

『大丈夫だよ父さん(daddy)。充分休んだ。それにこの人達は、ボクに用事があって来たんだろう? ならボクが応対するのが筋だ』

 彼女はそう言うと、そのまま三人の座るソファーの方まで歩いてくる。そして父親の横に座ると、ダンデとキバナに会釈した。

『そっちのお兄さんははじめましてだね。ボクはアイビー。キミは……——』

『——キバナだ。ナックルシティで、ジムリーダーをしてる。ダンデの友達だ』

『キバナ、ね。憶えた』

 ニコリと愛らしく笑った少女は、次の瞬間にはスッと表情を消す。そしてダンデの方を見て、口を開いた。

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作者名:綿雲しぃぷ | 作成日時:2023年6月27日 19時

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