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ゴーストタイプとしての特性を存分に使ったゾロアークのヒットエンドラン戦法に、バリコオルは随分苦しめられた。幻覚を操り影に潜み、引き摺るような愉悦の笑い声を響かせながらフィールドを縦横無尽に動き回るゾロアークの姿は面妖そのものである。分が悪いとリザードンに交代したなら、今度はゾロアークはリザードンが吐き出す火炎を手玉に取って見せた。ゲラゲラと楽しそうに笑うゾロアークとリザードンは激しく競り合いを見せたが、勝ったのはリザードンだ。そんなリザードンに次アイビーが選出したのはメテノである。いわタイプのメテノはリザードンにとても有利だ。ダンデはバリコオルで応戦し、メテノはバリコオルのトリッキーな攻撃に翻弄されたようだったが、それでも確実に一打一打攻撃を叩き込んでいった。やがてメテノは体力が尽きかけると、
アイビーに残ったのはメタモンだけだ。だがこのメタモンが最大の強敵だった。メタモンが使える技は[へんしん]のみ。だがこのメタモン、随分その一点に特化していた。自分の主人に必ず勝利を齎すという意志の籠った瞳で、対面したドラパルトへと姿を変えるとどんどんドラパルトを追い詰めて行った。まるでドラパルトがこういう時どんな行動を取りどう戦い次に何を繰り出すかが分かっているかのような行動ばかりだった。ドラパルトを下したメタモンは、最後にリザードンと対峙することになった。両者残り一体同士の争いとなった。
町人達は息を飲み、そのバトルを見ていた。まさかただの農村の収穫祭で、ガラル地方のチャンピオンを最後の一体まで追い詰めるチャレンジャーが出てくるバトルが起こるだなんて、誰も思っていなかったのだろう。ダンデは最高に猛っていた。リザードンも最高に猛っていた。アイビーも猛っていたのだろう、トーナメントを勝ち抜いている時の彼女の指示は落ち着いたソプラノボイスだったのに、今では殆ど絶叫するように指示を飛ばしている。
やがてリザードンに[へんしん]したメタモンとリザードン両者が同時に[だいもんじ]を放った。その炎は激しくぶつかり合い、やがてダンデのリザードンが押し勝った。
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作者名:綿雲しぃぷ | 作成日時:2023年6月27日 19時