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『こいつを見つけてどうするんだ?』
当然とも言うべきアカネの言葉に、リジアはキッパリ言った。
『ツキミがコイツを捜してるんだ。きっとアイツのことだから、“道具”として使う気なんだ。その前にホゴする!』
『保護って……第一コイツ何者だよ……』
『……なんだろう、分からん! 分かんねぇけど、オレのダチだ。昔別れてから、そのまま離れてたけどさ、いつか迎えに行くって約束したんだ。だから今から行く!』
『……んで? こいつ、名前は?』
『コイツの名前はな……——』
「——アイビー」
ナンを千切ってカレーにつけて口に運んでいたダチュラは、スマートフォンを見ていたサキハシが発した名前に顔を上げた。“アイビー”、リジアが捜している女の名前。彼の記憶に間違いがなければ、その少女の名前はアイビーというらしい。
「……? 急にどうしたのサキくん」
「今日、
「えっ!? ……あの“機械”の買い取りが遅いから?」
「違ぇ。例の“アイビー”っていう女を捜しに来るってよ。アルカディアーク団の最高幹部連中が、
「それは……アルカディアーク団とバトルになるかもってこと?」
「かもな。ポケモンのメンテしておけよ。いつでもバトルできるように」
「……うん……」
ダチュラは頷いてから、今度こそナンを口に運んだ。甘みの強いバターチキンカレーの香料が鼻に突き抜けて美味しいのに、この美味しさを味わう余裕は今のダチュラにはないのであった。
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作者名:綿雲しぃぷ | 作成日時:2023年6月27日 19時