【ポケモン】命儚し愛せよ乙女IV〜いずれにしても彼女は駑馬〜 (ページ2)

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二話：骨董品店で見つけた“機械” ページ2

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　ガラル地方のナックルシティは、都市として随分発達した都市である。中世の時代に築かれた城壁やガラル地方の歴史についての資料を集めた宝物庫、ガラル地方全体へと電気を飛ばしている電波塔など、様々な建物が並べられている。観光客も多く、人の流れも多い場所であり、正に“大都市”であった。

　アイビーはノーズフィットの部分を押し上げるようにしてマスクのズレを直し、その雑踏の中へと歩き出した。

　人が多く行き交うこの街では、誰もアイビーを見ていない。それが今のアイビーには都合が良い。足取りは軽やかで、心が踊っていた。

　ナックルシティを訪れるのは、今日が初めてではない。何度かこの地に足を踏み入れたこともあり、“馴染みの店”と呼べる程度に気に入っている店もあった。アイビーは過去の記憶を頼りにしながら、その店を訪れることにした。

《レッツ、チャンピオンタイム！！》

　ふと、その声にアイビーは足を止めた。声の方向を見てみれば、発信源はビルの側面に掛けられた大きなモニターだった。そこに映るのはこの地方のチャンピオン・ダンデ、通称“無敵のダンデ”。そういえば、ガラル地方ではこの時期にポケモンリーグが取り仕切るジムチャレンジが始まるはずだと思い出す。カントー地方でのジムチャレンジは、チャレンジャーが望んだ時に望んだタイミングで挑むことが出来るが、ガラル地方では決まった時期に始めて決まった期間以内迄に八つのバッチを集めて、最終トーナメントに出場し勝ち抜いたものだけがジムリーダーとのトーナメントに参加出来る。そのトーナメントを勝ち抜いて初めて、あのモニターに映るダンデにチャレンジできるのだ。

　考えるまでもなく、高い壁だ。カントー地方のチャンピオンである者に挑むよりも、ハードルが高いだろう。今頃大体のチャレンジャーは、一個目のジムであるターフタウンのジムにてヤローに相対している頃だろう。そんな若者達へのエールをという広告に起用されているダンデは、いつものチャンピオンポーズを決めていた。