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カフェ店内は人が少なく、すぐに席に通された。あまり長居する気はなかったが、百合と夏実が「おなかがすいた」と言うので、軽食を取ってから帰ることになった。Aとて、外は寒く、暖房の効いた暖かな店内でのんびりと休むことができたのが嬉しかった。

店員さんに、伊織はホットコーヒー、Aはホットココア、百合はクリスマス限定パフェ、夏実はフレンチトーストを頼むと、外に目を向ける。

「きれいだね〜」

「せやな〜」

外を眺める伊織とそれに共感する夏実。

「あ、雪」

「ほんとや!積もるかな?積もるかな?」

「小学生かっ!」

『積もるでしょ。今日もまだ残ってるし』

また雪が降ってきて、子供のように嬉しがる夏実に、同じような反応をしながらつっこむ百合。その様子を見ながら、冷静に状況を判断するA。伊織はニコニコとほほえましく友人を見ていた。

とっくに初雪を迎えた宮城のクリスマスは、雪が積もっている。向こうではあり得ないのに。

「お待たせしました、ホットコーヒーとホットココアでございます」

『ありがとうございます』

店員さんから注文の品を受けとる。

『美味しい』

両手で包み込むようにマグカップを持つ。少し冷ましてから飲むと、甘味が広がる。ココアは温かくて美味しかった。

「ええーっうちのまだ〜?」

「焼いたりいろいろあるんでしょ?」

駄々をこねながらも再び窓の外をキラキラとした目で見つめる夏実。イルミネーションと雪のコントラストが美しかった。

そういえば、イルミネーション一緒に見に行ったことなかったな、と外を見ながら、Aはそんなことを思っていた。

「お待たせしました、フレンチトーストとクリスマス限定パフェです。ご注文は以上でよろしいですか?」

『はい』

「ごゆっくりどうぞ」

「「いったっだきまー〜す!」」

幸せそうな顔で頬張る百合と夏実を見ながら、Aはココアをまた一口すすった。


━◈━◈━◈━◈━


「「ごちそうさまでした!」」

お皿がきれいに片付いたところで、帰る支度をする。

「お会計してくるからそれぞれ出して。先に行ってていいから」

『分かった』

会計を伊織に任せ、机の上に自分の勘定分出すと、

『百合、夏実、行くよ。伊織、ありがと』

と声をかけ、先に行ってしまった。

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作者名:七瀬月華 | 作成日時:2024年2月7日 17時

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