Merry Christmas ページ1
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今日は二学期終業式。クリスマスまで、あと3日。
｢A〜！｣
『何、百合。スゴーくうるさいよ』
｢そんなこと言わないでよ〜！あと3日でクリスマスだよ！テンションあげてこーよー！｣
『無理』
Aは自席に着き、頬杖をつきながら答えた。
二学期が終わり、明日からは冬休み。3日後に控えたクリスマスも相まって、クラスのテンションは最高潮にあった。他クラスもそうなのか、時々歓喜の叫び声が聞こえる。そこかしこで、クリスマスの予定を立てる声が行き交っていた。
Aに、クリスマスの予定は特に無い。昔は友達とパーティーしたり、プレゼント交換したりしていたが、去年は何もしていない。
確か、百合と夏実にしつこく誘われてたんだっけ、と、呑気に回想していると、百合の叫び声が聞こえた。
｢もう！クリスマス、何時からならいいの!?｣
『えっ？何が？』
Aは話を聞いていなかったため、百合の言うことがさっぱり理解できない。
｢だーかーらー！｣
呆れたように大きな声を出す百合をどう落ち着かせようかと考えてると、百合の頭に誰かの手刀があたった。
｢いでっ。誰じゃい！あ、伊織じゃん。どうしたの？｣
けろりと落ち着いた百合に伊織はため息をつく。その様子に、夏実は笑いを堪えている。Aには、相変わらず夏実の笑いのツボがわからない。
｢声が大きい。他のクラスまで響いてるよ、恥ずかしいから落ち着きなさい｣
そう言われてハッとしたのか、慌てて周りを見渡すと、クラスの誰もが百合を見ていた。廊下にすら、｢何事だ｣と教室を覗く生徒がいる。
｢グッ…すいませんでした−!!｣
叫ぶように謝って頭を下げると、恥ずかしくなったのか、鞄をもって｢ほら、帰ろっ｣と教室を出ていった。百合のいなくなった教室で、夏実をはじめとする数人が声をあげて笑っていた。
自業自得である。
ガタッと席を立ち、Aは百合の後を追って、二人と共に教室を出ていった。
━◈━◈━◈━◈━
百合は、すでに校門のところに立っていた。未だに、わずかながら顔が赤い。結構恥ずかしかったようだ。
｢おっそーい！早く帰ろ｣
｢なんや？そないに恥ずかしかったんか？｣
歩きながら、ニヤニヤと笑いながら夏実が聞く。
｢うるさいなぁ、恥ずかしかったんですよーだ！｣
ベー、と夏実に向かって舌を出す百合に子供っぽいと思いつつ、Aは教室で百合が言いかけたことを尋ねた。
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作者名：七瀬月華 | 作成日時：2024年2月7日 17時
