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「か、カシラ……」
「敏郎と呼んでくれ」
それは拒絶なのか、それとも戸惑いか。いずれにしても
こんなか弱い力で心の底からAを欲している阿久津を
止める事なんか出来ない
「ま、待って。待って下さ……っ」
「待てない」
寧ろそうすればする程、その情念を強くするだけだった。
首筋には既に複数の執着の痕が残されている
だが時間が経てばそれさえも消えてしまう
もっと、もっと繋がりが欲しい。いつまでも自分を
忘れられないようにしなければ……
「A」
誤解してほしくないのはこれが単なる気まぐれではなくて
ずっと昔から抱き続けていた恋心なのだという事だ
「愛してる」
阿久津は何かを伝えようとするAを無視し囁き続けるのだった
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「……嘘だろ?」
ちゃんと話を聞こうとしなかった自分を殴りつけたい
「嘘じゃないですもん……」
「俺がAを好きになるのは分かるが……お前が俺みたいな
おっさんを好きになるのはおかしいだろ?」
__酷い……阿久津のカシラが好きなのに、こんな……
速水に告げていた好きな人。それがまさか自分の事だとは
思いもしなかった
ついに泣き出してしまったAに阿久津は慌てる
「泣かないでくれ!俺が悪かった!」
「嫌……あっち行って下さい……」
しかし恨みのこもった涙目というのもそそられる……いや
今はそんな事を考えている場合じゃない
「責任は取る!だから泣き止んでくれ」
「責任……?」
「その、嫌じゃなければ……」
「……」
「籍入れないか?」
阿久津はそこでハッとする。いくら何でも飛躍しすぎな
その言葉を発したのは自分自身なのに思わず耳を疑った
「……急すぎますよ」
「……だよな」
「せめてお付き合いしてからじゃないと……あと親父さんに
報告して、それから……」
寧ろその発言を肯定する返事に先程までの空気が一変する
「期待して良いのか?」
これ以上早とちりする訳にいかない。阿久津は恐る恐る尋ねた
「言わせないで下さい……」
「悪い」
急に漂い始めた甘い空気感のおかげで阿久津は大切な事を
言い忘れている
「……先に言う事があるんじゃないんですか」
せめてそれくらいは欲しがっても良い筈。Aは強気に出た
「A。俺と結婚してくれ」
「……話聞いてましたか?」
ついつい先走ってしまう阿久津にAはようやく泣き止むのだった
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ぷるん(プロフ) - ゆずさん» 結局浮かばなかったらすいません💦そうですね、リク内容固まっている方からお伺いいただけると助かります (12月11日 18時) (レス) id: 0de05b8548 (このIDを非表示/違反報告)
ゆず(プロフ) - ぷるんさん» それでしたら内容が既に決まってる方から伺っていく方が良さそうですね?🤔分かりました!少し呼びかけ方法変えますので引き続き待機お願いします🫡 (12月11日 18時) (レス) id: 69150dbb82 (このIDを非表示/違反報告)
ぷるん(プロフ) - ゆずさん» 続きも気になる展開でした!イケおじはやっぱり素敵で✨年末企画リクに迷いが生じます…イケおじに合いそうなお題さえ浮かべば😭 (12月11日 18時) (レス) id: 0de05b8548 (このIDを非表示/違反報告)
ゆず(プロフ) - ぷるんさん» ありがとうございます!補足しますとこの時の大丸さんはまだ夢主に明確な想いを寄せていなくて、事故とは言え約束を反故にした事に対して憤りを感じている設定になっています!🤭 (12月11日 18時) (レス) id: 69150dbb82 (このIDを非表示/違反報告)
ぷるん(プロフ) - 大丸さんさっそく読みました!ゆず様のイケおじ……他のキャラでもよくそう思うんですが文字で読むとより格好よさや渋さが伝わってきてすごく好きです😊 (12月11日 18時) (レス) id: 0de05b8548 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆず | 作成日時:2023年7月6日 10時