【イナイレ】おお、神さまは天の上:序 (ページ8)

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『タイヤもロープも、随分と年季が入ってるね。』

「ここに付けてからもうだいぶ経つもんな。小学……いくつの頃だっけ？2、3年生の頃だった気がする。」

『小さい身体で頑張ってたねぇ、押す力も弱くてあまりタイヤ揺れてなかったけれど……あれ、練習になっていたのかい？』

むむむ、と不満げな顔をする円堂。すると、見てろよ！と呼びさしてグローブをする。

『え、それ引きすぎじゃ……』

ぐっと後ろまでタイヤを引き、思い切って前に投げる。勢いがついたタイヤは円堂に迫り、彼は身体を低くして構えた。

「どわーー！！！？」

『……ッ円堂！』

顔面からタイヤを受けた円堂は、案の定吹き飛ばされた。どたん、という大きな音と共に、円堂は目を回して仰向けに倒れ込む。

『だ、大丈夫かい？こんな無茶して怪我をしたら、サッカー所じゃないだろ！』

昔よりも遥かに引く力も、押し出す力も強くなっている。身体が大きくなって成長していることは分かるのだが、中身は全く持って成長していないことに意識が持っていかれた。

『部活とか子供の相手をして疲れてるんだろう、成長したことは分かったから。

……それと、もう少しで手を開いた方がいい。コップの上に人間が乗る実験を知っているなら、それを想像するんだ。衝撃は兎も角として……触れる面積が大きいほど力は分散されて、より支えやすくなる。』

「……へへ。」

『……何を笑っているんだ。』

倒れたまま黙っているので、脳震盪でも起こしているのだろうかと顔を覗けば笑っている。呆れて思わず小言を言いたくなるが、やはり彼の笑顔を見ると引っ込んでしまう。

「本当に大神がいる、大神だ……本物だ。」

グローブをしたままの手で、手を握られた。そのまま額のバンダナに持っていかれて、円堂は祈るように目を閉じた。