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桃色×遭遇1-3 ページ9
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目の前で追手の獣を倒したのは、確かに私の知ってる「大ちゃん」───────青峰大輝。褐色の肌も、濃紺の髪も、悪人に見えかねない三白眼も、大人と間違えそうな低い声も、私が忘れるはずないのに。なのに……!
「あ?誰だお前」
「覚えて、ない……の?わ、たしは、幼馴染の、」
まるで知らない人を見るような絶対零度の訝しげな眼差し。私はこの人の隣で、こんな眼差しを見たことがある。それは私に向けられることは絶対になかった。今後も無いと、思っていたのに。
なんで大ちゃんは私を《覚えてない》の?
ぼろぼろと涙が零れる。嗚咽が声に交じる。信じられなくて信じたくなくて、でも眼前のこれが現実で。
追手に追いかけられた時よりも強い恐怖感と絶望が私を苛む。さっきとは違う意味で息が苦しくなる。はくはくと口だけが動かせるのに、酸素が全く取り込めない。全身に力が入らない。繋いだ手をゆるりと離す。薄ぼやけた視界端、隣で黒の彼女が驚いた。感じないようにしていた疲れがどっと押し寄せて、私は。
重力に逆らえずに崩れ落ちた。
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