六一×推測2-2 ページ11
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ぼさっとしてっと置いていくぞ、の声にはっとして私も歩き始める。コンパスの差ですぐに開く間隔を埋めながら追いかける。桃色少女はというと────浅黒い彼に担ぎ上げられていた。歩みを進めながら考える。
獣を倒した時に見えた尖った耳はエルフのそれだ。間違いない。耳に髪があまりかからない短髪だったからわかりやすかった。今は気持ち凪いでいるようだし、一見して普通の人間の耳になっている。あの獣がどれくらいの強さかはわからないけれど、この人は多分強い。フレムか、それともトップクラスのエルフ────それこそ中央府で戦闘部隊に入るような。
一方の彼女は体重や体質から推測してニンフだろう。女性の髪は重力に逆らわずに真っ直ぐに落ちる。にも関わらず、彼女の髪はゆるく空中で揺蕩っていた。精霊種の中でも気を纏って微弱に物を浮かせるのはニンフしかいない。
斜め後ろから厳つい三白眼の横顔を見上げる。粗野に感じられるが根は優しいと見た。人(エルフ?)は見た目によらないらしい。
思わず笑んだら声が聞こえていたようで、
「なんだよ」
「いーや、なんでも」
優しさの滲む声に安心感を覚えながらついていく。エルフは基本的に感覚で生きているらしい。彼が躊躇いもなく獣を倒して彼女を助けたなら、それは信用に足るものだろう。
彼の行き先───────小さな東屋に着くまであと少し。
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