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ぼんやり、薄暗がりの何もない道。
不安感に襲われるなか、周りを見渡すと
『......お母さん』
大好きな母の背中が見えた。
ホッと心を落ち着かせる。
だけど、そんな思いも束の間。
『あ、あれ?』
足が重くて動かない。
もたついているうちに、母はどんどん遠くへ離れていく。
嫌。どうして?
私いい子にするから。
言うこともちゃんと聞くから。
待って、いかないで。
独りにしないで。
もう寂しい思いなんてしたくないよ。
ぽつり、ぽつり
流れ落ちる涙は、暗闇に混じって消え去る。
「哀れだよね」
滲む視界に、ふと誰かが映る。
背丈の小さな女の子。
『あなたは......』
「どんなに頑張ったって、どんなに我慢したって、無駄なのに」
少女は下手な笑顔を作ってみせる。
「確かにあなたは愛情が欲しかった。だけど、叶わなかった」
それなら、私はどうすればいいの?
胸が、苦しい、痛い。
こんなに辛いなら、このままずっと独りなら。
いっそのこと_________
・
「Aちゃん!」
『っ!!!』
勢いよく起きあがる。
光が眩しい。心臓がバクバクと鳴り響いている。
あれ、私......何してたんだっけ。
「Aちゃん......よかったぁ、やっと起きた......」
『え......え?ひふみ?』
なんで彼が?
というか、ここは
「なんか怖い夢見た?なんかめちゃめちゃ魘されてっし、俺っち焦って超揺すっちった」
涙で濡れた頬を、一二三が優しく指でなぞる。
それになぜか、感じたことのない安心感をおぼえた。
綺麗な瞳が、心配そうに私の顔を覗き込む。
どうしてだろう。
家族でも、恋人でもない彼に、無性に甘えたくなった。
でも
『......ごめん、平気!起こしてくれてありがとう』
その言葉と共に、自然と口角が上がる。
怖い。
私、愛情を貰えるなら誰でもいいんじゃないの?
私の我儘に、誰かを巻き込むなんて駄目に決まってる。
大丈夫。おかしな夢を見て、気が動転してるだけ。
今までだって、独りでも平気だったんだから。
「ね......俺っち、間違ってたらごめんね。Aちゃん、今嘘ついた?」
え......?
『はは、何言って......』
「じゃあ、なんでそんな人形みたいに笑うの」
やだ
「あんなに泣いてたのに、平気なわけないじゃんか」
それ以上何も言わないで
「俺っちには、言えない?」
お願い
『やだ......』
胸が、痛くてたまらない。
・
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あかつき(プロフ) - ぽぴらさん» わー!!お返事遅くなってすいません。。えっ!びっくりです!笑嬉しいです…!笑あとこいちゃんめっちゃかわいかたかっこいいです、、、。 楽しみにしてます〜〜!! (2020年4月25日 21時) (レス) id: 15e64c1d44 (このIDを非表示/違反報告)
ぽぴら(プロフ) - あかつきさん» コメントありがとうございます。拙い文ですが、そんな風に言っていただけてとても光栄です!実はあかつきさんの作品、閲覧させていただいてます笑 乱数の妹ちゃん、凄くかわいいなぁと思いながら読んでます(''*) 更新頑張ります〜! (2020年4月11日 2時) (レス) id: 7328f92863 (このIDを非表示/違反報告)
あかつき(プロフ) - 感想失礼します。すごく面白いです。一つ一つの描写だったりが上手で読んでいて楽しいです。私も小説を書いているのですが、文才が追い付かず、本当に尊敬しています。これからも更新楽しみにしています。 (2020年4月11日 1時) (レス) id: 15e64c1d44 (このIDを非表示/違反報告)
梓 桜 。(プロフ) - お忙しい中わざわざお返事頂けるなんて恐縮です( ; ; )このご時世ですから落ち着かれている時にゆっくり更新で構いません!更新ありがとうございます。゚(゚´▽`゚)゚。 (2020年4月4日 2時) (レス) id: f31cec74f3 (このIDを非表示/違反報告)
ぽぴら(プロフ) - 梓 桜 。さん» コメントありがとうございます。そんなふうに言っていただけて嬉しい限りです(´˘`*) 遅筆ですが、気長に更新待ってくださるとありがたいです、これからもよろしくお願いします´_ _) (2020年4月3日 13時) (レス) id: d4ba406946 (このIDを非表示/違反報告)
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