Gittering World (ページ12)

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『では休憩入りまーす』

1時間半の台本合わせは半分やって一旦休憩に入った。
台詞量はあまり多くはないけど、その分感情を込めるから精神を消耗する。

頂いた水を喉に一気に流し込む。
水って美味しいよね、多分どんな飲み物もこれには勝てん。

そのままゴクゴク飲んでいると、

「…あ」

水なくなった？嘘やん？
飲み過ぎだろ私！

また買いに行かないと、
自分に軽く引きながらも立ち上がった。

「あのー、僕の水良かったらどうぞ」

「…え？」

見れば、平野紫耀さんが遠慮がちにペットボトルを差し出している。
封は開いていないけど、

「いえ悪いですよ、平野さんの分ですから飲んでください」

さすがに貰うとかできないよ罪悪感で。
そんな気軽な関係でもないし…

「…そうですか」

残念そうに引き下がる。
どんだけ良い人なのさ。

「お気遣いありがとうございます」

お礼を言って部屋を出ようとしたら、

『台本合わせ再開しまーす』

タイムリミットが来てしまった。

思わずため息をついてしまう。
まあ自業自得なんだけどね、

あとで買いに行くしかないか、
そう思って席に座る。

隣の平野さんから突き刺さる視線には気付かないフリをした。