14. ページ14
.
「え…糸師さん!?なんで日本に、」
「いて悪いか」
「い、いえ。びっくり、しただけで」
パーティーで見かけたその姿に大きな声を上げてしまって、周りからの視線が集まる。それから逃げるように、糸師さんは車椅子を押した。
運ばれながらしきりに髪の毛を触ってしまう。治そうと思っているけれど中々治せない私の癖。
彼への恋心を自覚してから2ヶ月が経った今、なんでここにいるのかと思いながらも嬉しい気持ちは止められない。
車椅子を押されて辿り着いたのはバルコニー。前とは違うホテルだから、少し造りが違う。
「いつ帰って来られたんです?」
「昨日。明後日にはもう戻る」
「ほんとにこのパーティーの為だけに帰ってらしたんですね…」
そんなことする人だったっけ、と思いながら頷いて見せると彼は溜息を吐いた。何の溜息だろう。
バルコニーの柵に寄りかかり、彼は徐ろに口を開く。
「お前、それいつから?」
「脚の話ですか?それなら、10年前からです。10歳の誕生日に車に撥ねられて」
「誕生日に…?どんな確率だよ」
「ふふっ、笑えるでしょ」
「笑えねえよ」
バカか、なんて言うその顔には呆れが浮かんでいる。
「立つことくらいは出来るんですよ。歩くのも…リハビリ頑張れば出来るらしいんです」
「あ?なら何でしない」
「両親が…そう望んだから」
はあ?と盛大に眉を顰めるのを見るのは2度目な気がする。
その反応に苦笑して肩を竦めて見せた。
.
168人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
瑠璃烏(プロフ) - エリザベス女王さん» そんな風に言って頂けて嬉しいです!玲王は考察の余地を残そうと思って最後まではっきりとしたことは敢えて書いてないので、ご自由にご想像頂ければと思います😌見て頂きありがとうございました! (4月7日 14時) (レス) id: 8bc81fca4f (このIDを非表示/違反報告)
エリザベス女王(プロフ) - どんな気持ちで助けていたのか、、、考えても考えてもまとまりません!冴くんがただひたすらにかっこよくてずっと三途の川を泳いでました!本当に最高でした!!ありがとうございました😭 (4月7日 11時) (レス) id: 2cb2cc3e09 (このIDを非表示/違反報告)
エリザベス女王(プロフ) - 最高でした、、、‼︎主様の前作を読んでそこのリンクから飛んだのですが安定の最高さでした❤️駆け落ち系の話を見たことがなくて不安だったのですが初めてがこんな素晴らしい作品だだだ私は明日やらでも降るのかもしれません笑玲王くんはいったい (4月7日 11時) (レス) @page44 id: 2cb2cc3e09 (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃烏(プロフ) - ニアさん» コメントありがとうございます!素敵な考察までして頂けて嬉しいです!2人とも本当にいいキャラですよね! (4月2日 12時) (レス) @page43 id: 8bc81fca4f (このIDを非表示/違反報告)
ニア - この作品を読んでから2人をめっちゃ好きになりました!最後の切ない感じが最高でした…御影くん実は夢主ちゃんのこと好きだったんじゃないか…だから微笑んだんじゃないかとか色々考えていたら切なさときゅんきゅんが止まりません…ありがとうございました!! (4月2日 10時) (レス) id: b8d76587d9 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:瑠璃烏 | 作成日時:2024年3月6日 11時