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少年院 ページ18

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___英集少年院にて。





「雨降るんかな…」



Aの呟きに首を傾げた虎杖だったが、伏黒と釘崎が歩を進めた事でAにも早く進もうと促し歩き出した。

帳に覆われ夜になった空から視線を移して、Aも3人の背を追う。


重い扉を開き、その足を建物の中へと踏み入れた刹那。





___4人の息を飲む音が重なった。





「どうなってんだ!?2階建ての寮の中だよなココ」

「おおお落ち着け!メゾネットよ!」

「むり無理ムリ助けて玉犬俺を守って!」



外観からはあり得ない内部の構造は、全員を困惑させ恐怖させるのに十分な広大さと複雑さで。

扉はどうだと振り向いた伏黒に釣られて3人が振り向き、危惧した通り扉が無くなっている事にギャアギャアと騒ぎ立てる。

音頭を取り始める2人と玉犬に抱き着く1人を、伏黒の声が制した。



「大丈夫だ。コイツが出入口の匂いを覚えてる」


「わしゃしゃしゃしゃ」

「あぁああ玉犬ありがとう!お願いこのまま俺を守って!」

「ジャーキーよ!ありったけのジャーキーを持ってきて!」


「緊張感!!」



先が思いやられると眉を顰めた伏黒に、虎杖がその太陽のような笑顔を向けた。



「やっぱ頼りになるなぁ伏黒は!オマエのお陰で人が助かるし、俺も助けられる!」



その言葉に伏黒は長い睫毛を僅かに伏せ、やがてくるりと振り向いて足を踏み出した。



「進もう」











「ひッ……!」


「大丈夫だ落ち着け」


「惨い…」



下半身と泣き別れた上に内臓が飛び出した遺体。

それを見てAはたたらを踏んでしゃがみ込み、釘崎も手を握り締めて視線を逸らした。

伏黒は口元を覆って呼吸を浅くするAの背を摩りながら、遺体の前へ屈み衣服へ手を伸ばす虎杖を見る。



「…この遺体、持って帰る。あの人の子供だ」


「え……でも、」


「顔はそんなにやられてない。遺体も無しに『死にました』じゃ、母親としたら納得できねぇだろ」



ポンポンと背を叩いてAから離れた伏黒が虎杖のフードを引っ掴む。



「あと2人の生死を確認しなきゃならん。その遺体は置いてけ」



その言葉を聞いて虎杖はバカな事をと振り返ったが、伏黒は「置いていけ」と言ったのだと譲らない。



「いい加減にしろ!時と場所をわきま___」



やり取りを見ていた釘崎がAを支えながら立ち上がり、怒鳴って踏み出した瞬間。



「釘、崎……一色…?」



2人の体が、闇へ沈んだ。



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作者名:瑠璃烏 | 作成日時:2021年4月29日 19時

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