初任務 ページ16
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結局は手分けして探す事になり、釘崎(って呼ぶ方向に落ち着いた)は上から、悠仁は下から、俺はここ2階。
思ったより広い廃ビルの中をビクビクしながら呪力を感じる方へ進む。
ベチャッ
そんな気持ち悪い音に振り返って服の中に手を突っ込む。
スライドを引いて目線の高さへリアサイトを合わせ、引き金を引___こうとしてやめた。
「って待て待て待て待て待って!!」
爪が迫って来る。
待って怪我したくない死にたくない。
集中集中集中集中……
ぶつぶつとイメージを呟きながら瞼を下ろして、開いた。
「っセーフ…!」
突然壁も床も真っ白になった事で呪霊は慌て、張り付いていた天井からベシャッと落ちる。
そこに呪具である小太刀を突き刺せばその呪霊はすぐに消え、開きっぱなしだった瞼を下ろして目元を揉んだ。
「はぁ…これも慣れだよな…」
相手だけでなく自分も惑うようでは使い勝手が悪すぎる。
対象選択と3Dでの想像をスムーズにする事、あとは慣れ。今の所は視覚に作用するのを伸ばすのが目標だから。
見つかった課題を反芻しながら、物音がする階上へ駆け上った。
「っ…と」
手前に釘崎、壁際に子供を人質に取った呪霊。
人の命が掛かっている時に何も言ってはいられない。
呪霊にはまだ多分俺の姿は見えてない筈だ。
さっき撃ちかけて戻したSIG226を取り出してトリガーに指を掛けた。
フッ、と息を吐く。
「釘崎しゃがんで!」
「!」
4発。
右手右脚左手左脚。
それぞれに撃ち込むと呪霊はもんどり打って子供が床に倒れ込む。
次の瞬間壁が崩れたかと思えば悠仁が飛び込んで来て、あんぐりと口を開ける俺たちの前で子供を抱き込み庇った。
「っ釘崎!」
「分かってるわよ!虎杖!その腕寄越せ!」
「えっ!?」
藁人形と、五寸釘?
丑の刻参りを思い出す俺の前で釘崎は呪霊の手に藁人形を置いて釘を打ち込み、「鄒霊呪法」と唱えた。
すぐに外で呪霊の消える気配がして、はぁっと大きく息を吐く。
「生き延びた…」
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作者名:瑠璃烏 | 作成日時:2021年4月29日 19時