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選手交代 ページ36

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「おい一色!お前はもう術式使わない方が良い。走って帳の外に出ろ。先生連れて来い!」


「2人を置いてくなんて無理だ!」


「いやA、心配いらねぇ」



遊雲によって呪霊が吹っ飛ばされた川の中。

胸元に呪霊の攻撃を食らった真希と伏黒を背に庇ったまま銃を構えるAが、充血した目を瞬かせながら振り返った。



「選手交代だ」


「はい……?」



Aがポカンと口を開けた瞬間。


バッシャーン


と飛沫が跳ね上がり、Aはジクジクと痛む目を見開いた。



「いけるか!?虎杖(マイフレンド)!」


「応!」



ポカンとしたままのAの背後で、伏黒は自分たちで何とかなる相手では無いと言う。

そんな伏黒を振り返って、虎杖は応えた。



「大丈夫!」


「悠仁…」


「え、一色!お前目ぇヤバいよ!パンダせんぱ〜い!泣き虫一色くんもお願い!」


「え、悠仁ヒデェ!」


「はいはーい。行きますよ〜」



不服そうに唇を尖らせるAをパンダが抱え上げた時、Aがもがいて虎杖に顔を寄せ何かを伝えた。

虎杖は驚きつつも頷き、パンダは何と驚き3人を抱えてパンダッシュで走り始めた。











帳の境界。

自分だけが入れない帳を前にどうしたものかと考えていると、少し向こうで何かが帳の中から飛び出して来た。



「ッは…!ぅあ"…っ」


「A!」



息を切らして千鳥足を踏むAが呻きながら目元を押さえているのを見て状況を理解する。

右に左にゆらりゆらりと揺れるAを抱き留めて、そのまま崩れ落ちる体を地面に座らせて顔を上げさせた。



「A、僕だよ。見える?目が痛い?」


「い、たっ…ぃたいです、ボヤボヤ、する…」


「目薬は?取り敢えず息整えて、状況を教えて」



乱れた呼吸で出ない声の代わりにコクコクと頷くAが目薬を取り出したものの、どうやら力が入っていない。

その様子を見兼ねて目薬を手から抜き取りキャップを回す間に僅かに覗いた眼球が赤く充血していて、成る程辛いだろうと眉を顰める。


目元を強く押えている手を外させて代わりに自分の腕を掴ませ、グッと顔を掴んだ。



「痛いだろうけど上向いて、目開けて」


「ぅ…あ"、ぃたっ、」


「ごめんね、ちょっと我慢して」



可哀想だけれど無理やり顔を固定して瞼を上げ、薬液をポタポタと垂らす。

左目も同じようにして目元を手で覆ってやれば、物凄い力で腕を掴んでいた手から段々と力が抜けていった。


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作者名:瑠璃烏 | 作成日時:2021年4月29日 19時

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