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決意 ページ14

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「悲しいけど俺は弱虫だし泣き虫だし意気地無しの腑抜け腰抜け。蚤の心臓。軟弱者も小心者も全部掛け合わせたみたいな弱っちい奴なんですよっ」


「い、いやそこまでは…」


「悠仁みたいにカッコいい事言える訳ないし…そもそも自分がどんな奴かとか考えた事も無いし」



ボロボロと涙を零しながら呪骸を押さえ付けて自分を卑下するAを前に、夜蛾は目の前で泣かれた事に焦った様子だ。

五条がそれを笑いを堪えて眺めていると、Aは俯けていた顔をゆっくりと上げる。



「…っでも、そんな風にふわふわ生きてて良いって思った事も無いから、」


「……」


「自分の形…輪郭?言い表せないものだけど…」



擦ったせいで腫れた目元が決意を湛えて、厳つい顔をした夜蛾へ強い意志の視線を向ける。



「自分がどんな人間で、どんな事が出来て、どんな風に人の役に立てますよって言える人間に、なりたい」


「……」


「それまで死にたく無いんです。無抵抗でただ死ぬなんて嫌だし…許されない。何かしてから死なないと…」



その言葉に五条が目隠しの下の眉をピクリと動かした。

しかしそれは誰にも知られる事なく、時間が流れていく。



「それが君の答えか」


「た、ぶん…」



不安げになり始めた視線と、サングラス越しの視線が交わる。



「悟、2人に寮を案内してやれ。諸々のセキュリティの説明もな」


「へ……?」


「合格だ。ようこそ、呪術高専へ」



そう言って手を差し出された途端、Aが堰を切ったように「ふぇええ…」なんて子供みたいに泣き出した。



「どっ、どうした!痛かったか?怪我したのか。おっ…おい悟!」


「はいはーい。A、頑張ったね。怖かったね〜。よーしよしよし」


「一色〜、そんな泣くなよ。合格だってよ?な?なっ?」


「ぅううぅうッ…」



動かなくなった呪骸を抱きしめて布をびしょ濡れにするのも構わず泣くAを3人は必死に宥める。

結局それは3人の尽力もあってか長くは続かず、最終的にはAもへにゃりと笑った事で面談は終了したのだった。


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作者名:瑠璃烏 | 作成日時:2021年4月29日 19時

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