【文スト】助手なんていらないんじゃ…２ (ページ5)

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貴｢……ふふ｣

自分の爪を見て思わず口元が緩んでしまった。
実は昨日、ふと思い立ってネイルに挑戦してみたのだ。緑ベースの、先端にラメが散ったグラデーションネイル。初心者にしてはなかなか上手くできたのでは？と、今日は朝からふと爪を見てはニヤニヤしてしまっていた。

隣のデスクでは今日も乱歩さんがサクサクサクサク駄菓子を食べている。今日も可愛さ大爆発、絶好調である。自分の爪も可愛いし、隣の乱歩さんも可愛い。顔が緩むのも当然というものだろう。

太｢おやAちゃん、今日はいつにも増して素敵だねぇ｣
貴｢！ありがとうございます…！｣

ふと通りかかった太宰さんが私の爪をまじまじと見る。｢綺麗だね｣と感想を零して、にこりと微笑んだ。

太｢いやぁ、爪の先まで素敵な女性というのはやはり魅力的だね。ずっと眺めていたくな｣
国｢お前が眺めるのは山のように溜まった始末書だが？｣

いつものように国木田さんが現れて太宰さんを連行していった。太宰さんは引き摺られながらも｢あとでゆっくり見せておくれ～｣と叫んでいた。タフだなぁ。

しかし褒められたのは嬉しい。やっぱり人に見てもらえるとさらに良く見える。乱歩さんに言及してもらえないのは想定内も想定内なので、別にどうこうということは無いけども。ナオミちゃんも朝から褒めてくれたし、鏡花ちゃんも綺麗だと褒めてくれた。ふふふ。嬉しくなっちゃうな～～！

乱｢A｣

テンションが上がってニコニコしながら仕事をしていると、乱歩さんが机に顔を乗せたまま声を掛けてきた。まずい、ちょっと舞い上がりすぎた？にやけすぎてたかな。少し真面目な顔で応答する。

貴｢は、はい｣

乱｢君は｣

貴｢…？｣

乱｢君は本当に僕のことが好きだね｣

う、と思わず声が洩れた。多分、色の話だろう。乱歩さんはふいとそっぽを向いてしまった。

何故緑色なのか。やはり乱歩さんには、どんな思惑もお見通しみたいだ。私は一言｢そうですよ｣とだけ言って笑った。