【文スト】助手なんていらないんじゃ…

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いつもよりほんの少し暖かい昼下がり。
コピー機から吐き出される書類たちを無心で眺めていると、背後から「Aちゃん」と声を掛けられた。

この胡散臭い喋り方は十中八九太宰さんだ。それもなにかしでかす時の声。

貴「…なんでしょうか」

私はこれから会議に使う資料を纏めねばならない為、面倒事には極力巻き込まれたくない。眉間に皺を寄せながら一応応答する。


太「君は紙飛行機を折ったことはあるかな？」


紙飛行機。
逆に折ったことがない人間の方が珍しいのではなかろうか。これは質問や確認ではなくただの導入に過ぎないのだろう。面倒な予感が色濃くなってきた。


太「実は今度、探偵社で『第一回 世界最強紙飛行機決定戦〜サワークリームをを巻いたサーモンマリネの菜園仕立て〜』を開催しようと思っているのだけれど」
貴「また探偵社で意味がわからない催しが開催されようとしている…！？」

大方企画は太宰さんと乱歩さんだ。あの人はこういう下らないことへの思い切りが恐ろしいほどいい。なんだそのタイトルは。この社はおしまいだ。


太「まあまあ。気付いているだろうけど企画は乱歩さんと私だよ。社長には怒られそうだから申請はしてない」

ああ、怒られると分かっているのにもう人を集める段階にまで進んじゃったのか…。この調子だと既に敦くんや賢治くん辺りには話が行っていそうだ。すべて予測できてしまう自分に少しうんざりする。


貴「…ええと。それは誰の紙飛行機が遠くまで飛ぶか、っていう戦いでしょうか…？」
太「いや？誰の紙飛行機がいちばん格好いいか」
貴「！？！？」

そんな男子小学生みたいな…！
いや、この人たちはそういう人たちだ。危ない、この社では常識は通用しないのだ。まともな思考になってはいけない。

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