検索窓
今日:3 hit、昨日:3 hit、合計:220,419 hit

*43* ページ45

太宰さんは「そういうことだから、考えておいてくれたまえ」と言い残し、謎の笑顔を浮かべてどこかへ行ってしまった。仕事してください。

私もさっきの話は白昼夢だったと判断し、コピーが終わった書類を抱えて自分のデスクへ戻った。

…と。隣で乱歩さんが鶴を折っていた。紙飛行機じゃないんかい。思わず口を挟んでしまった。


貴「紙飛行機とは…」
乱「君ねぇ、この大会の趣旨を理解していないのかい」

乱歩さんが呆れ顔で言った。

乱「いいかい、今回の大会は『誰がいちばん格好いい紙飛行機を作れるか』。性能なんてこれっぽっちも意味が無いのさ」

まあ、確かにそうだ。格好良さだけを重視するなら飛べずとも良いのだから。

乱「通常の紙飛行機というのは飛ぶことを目的としているからあの形なのであって、僕らが作るべきは飛ぶことを目的としたものではない。世間が思っている一介の紙飛行機像に囚われるのはナンセンスだ」

よくわからない理論が展開されている。気付いたら私の隣に敦くんが正座していた。まさか乱歩さんの話を有難い説法だと思って聞いているのか…?

乱「紙飛行機だなんて名ばかりさ。なにせ僕らは『格好いい』紙飛行機を作れば良いのだから、鶴だろうがエリマキトカゲだろうが形はどうだっていいんだよ」

私は無心で聞いていた。なんならこれは私たちを惑わすための作戦なのではないかとすら思い始めた。というか多分そうだ。隣で感心しながら聞いている敦くんには申し訳ないが、私は一介の紙飛行機像とやらに縋ってみることにしよう。



…結果。
後日本気で行われてしまった『第一回 世界最強紙飛行機決定戦〜サワークリームをを巻いたサーモンマリネの菜園仕立て〜』は、乱歩さんの折り紙で折られた立体型ドローンが優勝を収めた。敦くんはカラフルに色付けされた鶴を持ち込み皆に生暖かい視線を向けられていた。賢治くんは本物の鶴を持ち込んで「又三郎」と題していた。鶴は飛んで行った。

*44*→←*42*



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (93 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
250人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

(プロフ) - 5ページ 太宰さんに乱歩さんに 乱歩さんを ではないでしょうか?  (2021年3月28日 22時) (レス) id: 411fa15fdd (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 3ページ 丈が眺めの 眺め ではないと思います、、 (2021年3月28日 22時) (レス) id: 411fa15fdd (このIDを非表示/違反報告)
飛花落葉(プロフ) - みずさん» 嬉しいです!ありがとうございます! (2018年8月13日 19時) (レス) id: 3b14457373 (このIDを非表示/違反報告)
みず(プロフ) - 乱歩さんに萌えました。あなたとあなたの作品が好きです心から。 (2018年8月9日 6時) (レス) id: 40c42479fe (このIDを非表示/違反報告)
飛花落葉(プロフ) - 通りすがりの変人さん» 嬉しいです!頑張ります!読んで頂きありがとうございます〜! (2018年5月27日 5時) (レス) id: a4f8881ef2 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:飛花落葉 | 作成日時:2018年3月21日 15時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。