恋34 ページ37
巽さんと話していると九条さんが私たちに近寄ってきた。
眼差しが絶対零度……。
「あの」
巽さんが話しかけようとすると九条さんはすかさず言う。
「こんな公共の場で何を?」
何を言ってるかさっぱりで私と巽さんは顔を見合せて首を傾げる。
そして七瀬さんが後ろから走ってきた。
「七瀬さんがですね」
そこから詳しく話を聴いた。
「キス?キスなんてしてませんよ?」
「ええ、してません」
私と巽さんがキスするなんてあり得ない。
巽さんに憧れてはいるが言うならあくまで敬愛だ。
「では何をしていたって言うんです?」
「あれは…」
―回想―
「Aさん」
「巽さん!お久しぶりです」
そこで少し話していると。
「あはは…っ!いたっ…」
「どうしました?」
「目になにか…」
そこで泣いていると涙と一緒に出たのは睫毛らしく。
「やっぱり駄目でよ、巽さん…目、痛いです」
「大丈夫ですよ、ほらもう目から出てます」
「す、すみません、巽さんの方から…」
「じゃあじっとしててくださいね」
―回想終了―
「睫毛入っちゃって涙と一緒に出たものの解らなくて」
「睫毛を取ってあげていただけです」
つまり完璧な誤解。
「紛らわしい…鵜呑みにした僕もですが、七瀬さんも」
「は、はい」
…んー、でも巽さんと私がかぁ…。
実のところ、業界から姿を消す前までは巽さんは。
私の初恋相手だったのだ。
だってこんな優しくて素敵な人いませんから!中々。
今は尊敬してるだけだけど。
100人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:歌菜子 | 作成日時:2020年4月27日 16時