恋27 氷鷹北斗side ページ30
天気予報外れの雨が降っている。
大丈夫だと思ったのが悪かったな…。
どうしたものか…。
「氷鷹さん？どうかしたんですか？」
「あぁ、木南さん…少し…な」
話しかけられると水色の傘を持っている木南さん。
「もしかして、傘忘れちゃいましたか？」
「まぁ、そんなところですね」
するとフフッと笑い傘を開く。
「よければどうぞ」
…つまり相合い傘を俺とするということか？
「私は変装してるので大丈夫ですよ」
確かに大きめのパーカーで髪を隠してフードを被り、マスク着用。
遠目から見れば女とバレないだろう。
「だが」
「いいですから」
そう言って押されて傘を途中まで借りることになった。
「この近くのコンビニで傘を買うからそこまでで」
「はい」
そう言って歩いていると俺の肩が濡れてるが女性が濡れるよりはいい。
「…あ、肩濡れちゃってますね」
気づかれてしまった。
「気にしなくていいですよ」
「……」
そう言うとむっとした顔をして俺に更に近寄る。
「そういうわけには行きません」
どうやら更に近寄ってどちらも濡れないようにしたらしい。
だが、こんなに近くで緊張しない男子がいるわけない。
しかも相手は大人気の芸能人。
好きな相手じゃなくてもドキドキするものだろう。
……好きな相手？
「あ、コンビニ着きましたね」
「あ、はい、ありがとうございました」
「いえいえ！それじゃあまた」
そう言うと木南さんは去っていった。
「…はぁ…こんな局面でこんな名前のつく感情を…」
俺は気づいた、気づいてはいけない気持ちに。
俺はあの人に恋してしまったと。
何故か後ろで見ていたRe:vale
「あーあ、また知らないうちに男落としちゃって」
「もー！Aの無自覚人たらしめっ！」
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作者名：歌菜子 | 作成日時：2020年4月27日 16時
