恋13 衣更真緒side ページ14
収録が終わり笑顔で「お疲れ様です」と言っている俺に話しかけてきた人物。
「衣更さん、お疲れ様です!」
「お疲れ様です」
笑顔でそう告げるとにこっとして言ってきた。
「歌もダンスもとてもお上手で…」
「いやいや、俺は器用なだけですよ、あいつらに比べたら…」
今でも凪砂さんに言われた「懐中電灯」は未だに俺が越えるべきものだ。
「俺は懐中電灯みたいなものですから」
そういうと「懐中電灯…」と呟き俺に言う。
「懐中電灯は暗いところに光をさしてくれます、電池が続く限りは光続けます」
そう告げた後に続けて「でも」と言う。
「それに貴方はもしかしたら原石なのかもですよ」
「原石?」
「宝石の原石は磨けば磨くほど輝きを増します」
それと懐中電灯ではすごい差だと思うけど…。
「今は懐中電灯でもみんなが暗いときは照らし、貴方の技術を磨きいつか星に」
その後、俺の目を真っ直ぐに見つめる。
「貴方はそんなアイドルになれる、だって今ここにいるんですもの」
俺の懐中電灯を越えると言う課題はいつ達成できるのか…。
そう思っていたけど、俺も言ってたな。
「懐中電灯としてお前の足元を照らしてやる」って…。
今は懐中電灯でもそこからステップアップしていけばいい。
宝石の原石になったら技術を磨いて磨いて、宝石になって。
今度は堂々と星になって、あいつらの隣に。
そしていつか…木南さんに…。
…?俺、木南さんになに言うつもりなんだ?
「あの時励ましてくれてありがとう」?
「前向きにさせてくれてありがとう」?
…いや、違う…。
この気持ちは、俺があの人に抱いていいのか?
解らない…。
この気持ちの名前を解ったとき、俺は動揺するかもしれない。
その日はきっと近いんだろうけど。
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作者名:歌菜子 | 作成日時:2020年4月27日 16時