Kiss33 ページ33
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ここのところずっとAちゃんと一緒だったから
1人の帰り道はつまらないな 。
「 那須くん!」
久しぶりに鞄からイヤホンを取り出した時に
後ろから呼ばれて振り向くと浮所の彼女 ……
じゃなくて元彼女 。
「 今から時間あるかな?」
浮所の元カノの名前は確か蘭那ちゃん
Aちゃんがよくこの子の名前を出していた 。
学校近くのファミレスに場所を移して学生らしく
ドリンクバー … 長居する予定はないんだけどな 。
「 那須くん 、昨日はありがとう 」
「 お礼を言われるとは … 」
「 やっと肩の力が抜けたから感謝してるの 」
外が暑かったからか 、目の前の彼女は
サイダーを一気に半分まで飲んでお礼を言った 。
「 那須くんから連絡が来て無かったら今頃は … 」
「 君は浮所の彼女 」
「 ふふ 、そうだったよ 」
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俺の最後の意地悪 、
それは昨日 … 浮所の部屋に彼女を呼んだこと 。
倒れるのは想定外だったけど目を覚ませば絶対に
Aちゃんにキスすることは気づいてた 。
…… 倒れる瞬間にAちゃんを呼んだのも 。
だから帰ると言って外に出て 、
元々野球部のマネージャーだった彼女の連絡先に
浮所が倒れたからお見舞いに来てと送った 。
こうしたら 、浮所は彼女に罪悪感を抱くだろうし
彼女は浮所の本当の気持ちを知ってしまう
じゃあ浮所には彼女と別れる選択肢か
Aちゃんに近づかない選択肢しか無くなる訳 。
そして浮所はその2つの選択肢から
彼女と別れる選択肢を選んだ 、それだけ 。
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「 何で意地でも別れないって言わなかったの?」
「 ひーくんに苦しい思いはさせたくないから 」
「 へー 、カッコいいんだね 」
「 そんなことないよ 」
氷をぐるっとストローで回しては
彼女は笑って言う 。
「 それに那須くんはわかってたでしょ?」
「 ん?」
「 私がAちゃんに敵わないって思ってたこと 」
「 何となくね 」
俺も目の前のコーラを飲む 。
「 私は 、ひーくんを応援するけど
那須くんはもう少し時間が掛かりそうだね?」
「 あー … 気づいてたんだ 」
「 何となく 、ね 」
誰にもバレてない自信があったのになー 。
喉に流れるコーラの炭酸で
一気に消えてくれたらいいのに 。
ひっそりAちゃんに向けた不格好なこの恋心が 。
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ひゅーら(プロフ) - 1番好きだったお話が終わって寂しいです( ; ; )お疲れ様でした! (2018年8月8日 16時) (レス) id: aa8eeb01f9 (このIDを非表示/違反報告)
こりん - 少し激しめのキスシーンも読みたかったです!プラスで書いていただきたいくらい^ ^ (2018年8月3日 8時) (レス) id: 552a5d5abc (このIDを非表示/違反報告)
みっちゃか(プロフ) - 長い間お疲れさまでした。スゴい面白かったです!! (2018年7月31日 17時) (レス) id: 6bb2b8ab02 (このIDを非表示/違反報告)
ゆず(プロフ) - とても素敵できゅんきゅんするお話をありがとうございます!次の更新がとても待ち遠しいです。ひだかくんがどうなるのかとってもどきどきしてます! (2018年7月6日 16時) (レス) id: 016839428c (このIDを非表示/違反報告)
ゆう(プロフ) - 一気読みしました!おもしろいです! 幸せになってほしいなー! (2018年7月3日 7時) (レス) id: 3f1cd80dfa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みるるん | 作成日時:2018年4月5日 12時