Kiss32 ページ32
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「 そうだよね 。何だか吹っ切れちゃったよ 」
『 え?』
「 吹っ切れたというか 、肩の力が抜けちゃった 」
ずっとひーくんの気持ちが見えないままだった 。
はっきり振ってくれてやっとひーくんの気持ちが
わかったから 、もう私はひーくんを応援する
そう言う蘭那ちゃんはクスクスと笑って
私に親指を立てて見せた 。
「 だから 、もう私に遠慮しないで?」
リボンをパチっと付け直した私に
蘭那ちゃんは微笑んで言う 。
『 遠慮って … 』
「 これで 、おあいこにしようよ 」
『 おあいこ?』
「 そう!あ 、もうチャイム鳴っちゃうよ!」
教室戻ろうって私の腕を引く蘭那ちゃんを見て
飛貴はこんないい子以上に好きになった人が
いるんだと思うと余計 、自分に自信が無くなる 。
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放課後 、鞄に教科書を詰めていると
いつものように那須くんが私のところに来た 。
「 Aちゃん 、帰ろうよー 」
『 今日はちょっと … 』
「 あー … 浮所か 」
『 え 、何でわかるの 』
飛貴に呼び出された 、なんて言ってないのに
すぐ気づいたようでにやにやしている 。
「 見たらすぐわかるよー 」
『 なっ … 」
「 まあ 、頑張るんだよ 」
私の頭をぽんっと叩いてから
那須くんは教室を出て行った 。
『 … なんだあれ 』
「 ふふ 、那須くんって優しいよね 」
那須くんの背中を見ていると
横から聞こえた声 、蘭那ちゃんだとすぐにわかった
「 私 、那須くんと少し話して来る 」
『 え?蘭那ちゃん?』
また明日と那須くんを追いかける蘭那ちゃんを見て
飛貴との約束を一瞬忘れかけた 。
危ない 、危ない …
飛貴の席を見るともうそこにはいなかったから
きっともう図書室にいるんだと思う 。
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キュッと鞄のチャックを閉めて
図書室に向かう 。
教室から図書室は反対側の校舎の為 、
少し遠いはずなのに気づけばもう数歩歩けば
図書室に着いてしまう距離まで来た 。
ひとつ深呼吸をして 、
一歩踏み出すと
ふわっと飛貴の匂いがしたような気がする 。
さっき飛貴も私と同じ道を歩いて来た
そう思うと今 、飛貴の1番近い距離にいるのは
私だと思えて胸がドキドキと音を立てる 。
ガラッと開けた図書室のドアの先 、
カウンターで両耳にイヤホンをして
本を読む飛貴がいた 。
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ひゅーら(プロフ) - 1番好きだったお話が終わって寂しいです( ; ; )お疲れ様でした! (2018年8月8日 16時) (レス) id: aa8eeb01f9 (このIDを非表示/違反報告)
こりん - 少し激しめのキスシーンも読みたかったです!プラスで書いていただきたいくらい^ ^ (2018年8月3日 8時) (レス) id: 552a5d5abc (このIDを非表示/違反報告)
みっちゃか(プロフ) - 長い間お疲れさまでした。スゴい面白かったです!! (2018年7月31日 17時) (レス) id: 6bb2b8ab02 (このIDを非表示/違反報告)
ゆず(プロフ) - とても素敵できゅんきゅんするお話をありがとうございます!次の更新がとても待ち遠しいです。ひだかくんがどうなるのかとってもどきどきしてます! (2018年7月6日 16時) (レス) id: 016839428c (このIDを非表示/違反報告)
ゆう(プロフ) - 一気読みしました!おもしろいです! 幸せになってほしいなー! (2018年7月3日 7時) (レス) id: 3f1cd80dfa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みるるん | 作成日時:2018年4月5日 12時