Kiss34 ページ34
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本を読みながら少しリズムを足で取っているのか
トン 、トン 、と音がする 。
そのリズムに合わせるように私の胸の音も
ゆっくりトン 、トン 、と落ち着いた 。
『 飛貴?』
両耳にイヤホンをしているからか 、
入り口から発した私の声は届いてないようだった 。
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飛貴が本を読むなんて珍しい 。
何の本を読んでいるんだろう?
そう思いながら飛貴に近づく 。
「 あ 、A!」
パッと顔を上げ 、私に気づいたみたいで
イヤホンをすぐ外して立ち上がった飛貴 。
『 何の本 、読んでたの?』
「 そこにあった適当なやつ 」
飽きちゃってたところなんだよーって
すぐに本をカウンターの後ろの棚に片付けている 。
『 そうなんだ 』
「 うん 。それで … 呼び出したのはね … 」
私の前に来た飛貴は体調が悪い様子でも無くて
至って普通の様子だった 。
「 俺 、蘭那と別れたんだ 」
『 蘭那ちゃんから聞いた … 』
「 そっか …… え!?知ってるの?」
『 うん 、知ってるよ 』
シンっとした空気が飛貴の大きな声で
壊れてしまった 。
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「 なーんだ 、知ってるんだ 」
そう言った飛貴はにやっと笑った 。
待って 、これは何か企んでいる 。
『 あ …… んっ 』
そう思ったのも束の間 、
私の唇に飛貴の唇が重なる 。
『 … もっ!馬鹿!』
「 え?何?」
『 何?じゃないよ 、キス …… 』
そこまで言うと飛貴は私の声を遮るように言った
「 もう彼女いないし 」
『 そ 、そういう問題じゃないでしょ?』
「 え?駄目なの?」
首をくいっと曲げて聞く飛貴に呆れる 。
『 普通に考えてよ 、駄目でしょ 』
「 何で?愛がないから?」
『 そうだよ 』
「 じゃあ心配しなくてもいいよ!愛はあるし!」
ニコッと笑う彼はとんでもない発言をして
私を勘違いさせるのが得意なんだから 。
少しは私の気持ちも考えてよ 、
なんて言ってもきっと通じないから何も言わない 。
『 ふざけないで 』
「 俺 、ふざけてないよー?」
飛貴に背中を向けると図書室の静かな雰囲気とは
似合わない飛貴の待って!って大きな声 。
「 俺の話聞いてよ 」
チラッと顔だけを飛貴に向けると彼は
カウンターの上に腰を下ろして微笑んでいた 。
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ひゅーら(プロフ) - 1番好きだったお話が終わって寂しいです( ; ; )お疲れ様でした! (2018年8月8日 16時) (レス) id: aa8eeb01f9 (このIDを非表示/違反報告)
こりん - 少し激しめのキスシーンも読みたかったです!プラスで書いていただきたいくらい^ ^ (2018年8月3日 8時) (レス) id: 552a5d5abc (このIDを非表示/違反報告)
みっちゃか(プロフ) - 長い間お疲れさまでした。スゴい面白かったです!! (2018年7月31日 17時) (レス) id: 6bb2b8ab02 (このIDを非表示/違反報告)
ゆず(プロフ) - とても素敵できゅんきゅんするお話をありがとうございます!次の更新がとても待ち遠しいです。ひだかくんがどうなるのかとってもどきどきしてます! (2018年7月6日 16時) (レス) id: 016839428c (このIDを非表示/違反報告)
ゆう(プロフ) - 一気読みしました!おもしろいです! 幸せになってほしいなー! (2018年7月3日 7時) (レス) id: 3f1cd80dfa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みるるん | 作成日時:2018年4月5日 12時