Dandelion (ページ28)

今日:2 hit、昨日:4 hit、合計:45,825 hit

＊ページ28

'

俺がはっすんの家に着いた時はまだ救急車は来てなくて、部屋に入ると丈くんは意識がなく腕がだらんとなった状態のはっすんを強く抱きしめながらうわごとのように｢大橋…大橋…｣と泣きじゃくっていた。

｢丈くん…｣

丈くんの背中を擦りながら声を掛けるとその大きな目から涙を零しながら｢大橋…なんで？なんで、おまえ、いつもより重いねん、、｣と言いながら顔を上げいつもより一層白く見えるはっすんの顔を見つめた。

俺は、はっすんを抱きしめた丈くんごと抱き寄せて救急車を呼んだから安心してと丈くんに伝えながらはっすんが息をしてるか確認した。

丈くんは、はっすんの顔からは目を離さずに発見した時の状況を話し始めてくれたけど心ここにあらずな状態で無意識なのが見て取れた。

その後すぐに救急車が到着して丈くんからはっすんを離して救急隊員の人に任せるとはっすんが急に自分の手から離れたのが余程不安になったのか取り乱してはっすんに手を伸ばそうとする丈くんを咄嗟に後ろから抱きしめたがそれでも振り払おうとする丈くんに俺は堪らず涙が止まらなかった。

｢…大丈夫、大丈夫やから。病院に行く準備してるだけやから…｣

と言うと丈くんはやっと状況を理解したのか手を伸ばすのをやめた。

その後の丈くんは病院に着いてはっすんが処置室に運ばれていくと片時も処置室から目を離さなくて病室に移動してからもはっすんの手を握り締めながら傍らでじっとはっすん見つめ続けてた。

渡した飲み物は飲んでるみたいでトイレにも何度か立ったりしていたけど入口付近に座る俺らには一切目もくれず話しかけてもはっすんしか見えてないようで無反応だった。

俺と後から駆けつけた正門はそんな丈くんを黙って見守ることしかできなくて結局はっすんが目を覚まさないまま朝を向かえた。

丈くんもこんな感じではっすんもいつ目を覚ますか分からない状況の中、共倒れするのだけは避けるために1度はっすん家に戻った時に乗ってきた車で正門と交代で仮眠を取ったけどお昼を迎えても状況は変わらず、夕方にさしかかろうとした頃やっと丈くんがポツリと言葉を発した。

｢なんでなん……｣

小さいけれけど確実に聞こえた丈くんの声に俺と正門は目を見合わせれば同じ事を考えたのだろう。

頷きあって覚悟を決め静かに立ち上がり、俺らの口から今話せることを簡潔にだが話した。

───────

'