第二十三夜 ページ26
バルバットに帰ってから、数日は何事もなく平穏に暮らした
はじめは、失った王宮の再建築を手伝おうとしたAだったが、大工たちがすざまじい勢いで止めるので諦めることにした
特にやることもなく、シンドバッドとの件も忘れたくてぼーっと窓の外を眺めていると、ドアがコンコン、とノックされた
「ナチアでございます、A様」
「どうぞお入りください」
ナチアが部屋に入ると、Aは窓に寄りかかるように向きを変えた
「なんでしょう」
「はい、陛下がお呼びでございます、A様」
「わかりました」
頭を下げているナチアの横を通り過ぎ、部屋を出る
王宮の再建築が途中の今、アブマドから呼び出されることといえばひとつ。
「A王女がおいでになりました、陛下」
相変わらず偉そうに玉座に座るアブマドの近くに、奇妙な男がいた
「どうだ、銀行屋よ、満足したか」
「なんとお美しい姫ですこと」
銀行屋と呼ばれた男がAをまじまじと見て ほう、と自分の顎に手を当てると、アブマドは面白くなさそうにふん、と顔をしかめ
「どうせスラムのゴミだ」
と吐き捨てた
話がよくわからないAに、近くにいた衛兵が説明してくれた
「銀行屋殿は我々バルバットの経済復帰ををお手伝いしてくださる方でして。
シンドバッド王と王女様の結婚のことをお聞きになられた銀行屋殿が、是非王女様のお顔を拝見したいと仰られて」
衛兵の説明に銀行屋は頷き
「これほど美しい方は、シンドバッド王とさぞお似合いでしょうな」
銀行屋の言葉を聞き、アブマドはにんまりと笑う
「では、此奴をシンドリアへ嫁がせるべきか」
そんなアブマドの問いに、銀行屋のこたえは意外なものだった
「いえ、バルバットは今、経済は悪化し、王宮を賊軍に焼かれ、とても結婚などしている場合ではありません」
首を振る銀行屋に、アブマドは焦ったように言う
「し、しかしシンドリアとつながることができれば……」
「陛下、陛下のもとには私どもがいるのですよ。シンドリアとはまた安定してからでも遅くはありません」
「そうだな」
銀行屋に納得したものの、アブマドはどこかソワソワしていた
ちらっとAを見たり、目を泳がせたりしている
「陛下」
黙って聞いていたAが口を開く
いつものことなのに。
「仰られたいことがございましたら、どうぞ」
はっきりと言ったAの目を見ることができず、アブマドはさらに焦る
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由佳七助(プロフ) - 雲散霧消ダーク・エンジェルさん» そのあと何もやる気がおきませんでした(笑 ありがとうございます、ちびちび更新していきます (2015年8月22日 15時) (レス) id: bebc3960bd (このIDを非表示/違反報告)
雲散霧消ダーク・エンジェル(プロフ) - 4回も消えたんですか!?それは凄いショックですよね……。更新頑張って下さい! (2015年8月22日 4時) (レス) id: 37cbfd75cc (このIDを非表示/違反報告)
由佳七助(プロフ) - 緋乃さん» ……!Σ(゚д゚lll)本当だ。直しておきます。ご指摘ありがとうございます (2015年7月30日 22時) (レス) id: bebc3960bd (このIDを非表示/違反報告)
緋乃(プロフ) - シンドバットじゃなくてシンドバッドです (2015年7月30日 18時) (レス) id: 270b540a12 (このIDを非表示/違反報告)
由佳七助(プロフ) - アリスさん» 応援ありがとうございます( ´ ▽ ` )頑張ります (2015年7月29日 23時) (レス) id: bebc3960bd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:由佳七助 | 作成日時:2015年7月26日 20時