《ハルチカ》こんな四角関係いやっ！ part３！

エレファンツ・ブレス 21 ページ29

萩弟「これなら武器所持ライセンスは必要ありませんし、萩本式ではネットを柔らかいビニールの紐に変えてあります」


ハ「柔らかいビニールの紐…？」


ハルタが眉を寄せて反応する。


萩弟「対象者が怪我をする恐れはありません」


日「…よし。許可する。試せ」


日野原さんが指示し、萩本兄弟はこくこくと頷きあった。




翌日、五時限目の授業が終わる頃、千夏の携帯電話に日野原さんからメールが届いた。
いとも簡単に彼女を萩本式キャッチングネットで捕獲できてしまったようだ。
ショートホームルームと掃除が終わると、わたしと千夏とハルタは急いで発明部の部室に向かった。


部室の前で、顔中引っかき傷だらけの萩本兄弟が情けない見張り番のように立っていた。
恐る恐る引き戸を開けると、日野原さんが刺叉を首にかけられて壁に張り付いている。
刺叉を使っているのは、肩まで伸ばした髪の、背の低い女子生徒だった。
ふーふーと鼻息が荒い。
自ら発注した器具で追い詰められている日野原さん。


馬鹿じゃないの。自分が捕まってるじゃん。


？「女の子に嘘ついて酷い目に遭わせるなんて最低！訴えてやる」


彼女が叫んだ。よく見るとビニールの紐が制服にまとわりついている。


日「部外者が勝手に侵入しておいて、それはないだろっ」


日野原さんが負けじと返す。


？「私はいいんだもん。来月からこの学校に入学するんだから」


彼女の制服は真新しかった。
新一年生だ。
フライングしてやってきた新一年生…


日「屁理屈だ。引っ込んでろ、この中学生がっ」


？「えい」


と彼女が刺叉のハンドグリップを握ると、ぐええと日野原さんが身悶えする。


もう、なにもかもが馬鹿らしい。


黙って見ていたハルタがため息をつき、彼女の肩を後ろから優しく触れた。


ハ「…強引なやり方だったことは謝るよ。きみを傷つけたことも謝る。
許してほしい」


ハルタがやったんじゃないのに、どこまでもお人好しなやつ。


振り向いた彼女ははっと目を見開く。
悔しいが一般の女子にとって初対面のハルタほど印象のいいものはない。


細くて柔らかそうな髪、長いまつ毛と二重のまぶた、テレビでしか見られないような端整で中性的な顔立ちに、彼女の顔はみるみると赤くなっていった。


ま、わたしは見た目で好きになったわけじゃないから。


刺叉がカランと音を立てて落ちた。


？「え…あの…桜ヶ丘中学の後藤朱里…です。すみません…私…」

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