《ハルチカ》こんな四角関係いやっ！ part３！

エレファンツ・ブレス 20 ページ28

楽器ケースだ。
千夏もそれに気づいたみたい。


千夏「トランペットにしてはすこし大きい気がするけど…」


「金管楽器のケースだね。この大きさからするとトロンボーンかな」


萩本兄が説明を加える。


萩兄「撮影された時間帯は四時限目の授業中。
切り貼りの文書がいつもの場所に差し込まれたんだ。
内容は相変わらずの催促だったが」


日「――どうだ？」


日野原さんがわたしと千夏とハルタを見て言った。


日「吹奏楽部にはいない特徴の女子生徒だ。
お前らに心当たりはあるか？」


結論を言えば心当たりはない。
トロンボーン奏者は二人しかおらず、喉から手が出るほど欲しい状況だ。
首を振って答えると、日野原さんは少し落胆する表情を見せた。


「授業中ってことは、卒業を控えて自由出席の三年生の可能性があるけど」


ハ「三年生か。興味が出てきたな」


「なんとかその女子生徒をおびき出すことはできない？
学校のホームページの掲示板で、エレファンツ・ブレスの色が判明。
つきましては協力願いたいので至急連絡請う――ってな感じで」


千夏「そんなので引っかかってくれるの？」


千夏が耳元で囁く。
そばにはハルタもいる。


「彼女はエレファンツ・ブレスが何色か知りたいんだよ。
分かっていれば発明部の二人を困らせずに、わかりやすい他の色に置き換えて思い出申請をするはず。
それに、彼女は何かしらの問題を抱えている」


日「なるほど。理屈だな」


腕組みした日野原さんがぽつりと言った。


「多少手荒な真似をしてもいいから、彼女の存在が問題になる前に捕まえたほうがいいと思う」


わたしの忠告に、日野原さんは首を傾げて写真を凝視した。
日野原さんも気づいたようだ。


日「…そうかもしれないな。おい発明部」


萩本兄弟「はいっ」


日「彼女を捕まえるアイデアを三十秒以内に出せ」


日野原さんは無茶な命令を出し、かわいそうな萩本兄弟が部室を走り回った。
特許出願中とラベルが貼られたロッカーを萩本兄が開けると、中から先がＵ字形になった二メートルくらいのアルミ棒が出てきた。


萩兄「それは生徒会執行部に発注されて制作した、現代版刺叉です。こっちです」


つづいて萩本兄が取り出したのは巨大なモデルガンだった。
拡声器くらいの大きさで、銃口の部分が直径二十センチはある。


萩弟「萩本式キャッチングネットです」


萩本弟が自慢げに言う。
その言葉でなんとなく察することが出来た。

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