Honey Citrus ３

１２８ ページ32

.







.







「藤ヶ谷さん、なんか…

　最近悩んでることとか無いですか…！？」




「ん？どうしたの、急に」







目の前で、トマトソースのパスタを

フォークで器用に絡めとる藤ヶ谷さんの顔を伺う。







今日はうちに来て、


いつかの特売で買い過ぎたパスタの消費を手伝ってくれてて…。



(消費期限：来週まで。)









昨日のあの男の人のことがずっと頭から離れなくて


こうして藤ヶ谷さんを前にしてても

気になってチラチラと顔見てばっかで…。









「うーん、最近ちょっと寝付き悪いかもなー…」



「そ、それだけですか…？」



「うん。特に何も無いと思うけど…」







キョトン、ってしてる藤ヶ谷さん。






特に様子は変わりないし、


あの人に何か言われてるわけでは無さそう…？









「俺の心配してくれてるの？」




「えっ…？あ、ま、まぁ…」




「じゃあ…一つお悩み聞いてもらえますか？」




「ど、どーぞ……っ！」







口ごもる私に、


そう聞いてきた藤ヶ谷さん。






カチャン、ってフォークを置いて向き合ってきたから


少し背中に力が入る。







な、何言われるんだろう…






ちょっとドキドキしてたら









「……ん、Aもうちょいこっち来て、」




「えっ…？…こ、こうですか？」








クイクイ、って手招きされて、


向かいに座る藤ヶ谷さんの方へ少し顔を近付けたら








「……っ！///」





「はは、お隣さんがおっちょこちょいで困ってます(笑)」





「ちょ……っ！！！////」








ほ、頬っぺにソース付いてた！！！？？？///





藤ヶ谷さんの細くて長い指が

ちょん、って私の頬をなぞって。







そのまま







「…ふふ、なんかAちっちゃい子みたい(笑)」








ちゅぱ、って




な、舐めたよこの人……っ！？/////









「は、恥ずかしいからやめてください…！///」





もう〜〜！顔から火が出そう！！







こういうことサラッとできて

しかも絵になっちゃうの、



ホントに藤ヶ谷さんって罪な男ですよ……







何聞かれるか分からなくて少し身構えたのに、



クスッて面白そうに笑ってる藤ヶ谷さんに


思わず肩に入ってた力が抜ける…。









「…ありがとね、心配してくれて。」




「……へ？」








恥ずかしくてヘコんでたら、


不意に藤ヶ谷さんの落ち着いたトーンが耳に入ってきて。

１２９→←１２７

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す