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Kento
あ〜。やっぱり風磨はカッコいい。
流れる映画は、洋物で。
身分違いの男女が 禁 断 の 恋 に堕ちていくストーリーだった。
俺と風磨の間には、沈黙が流れる。
それは決して居心地の悪いものではなく、むしろ良い方だ。
それは長年の付き合いだからなのか、それとも俺が勝手にそう思っているからなのか。
映像から聞こえてくる以外の音は、袋を開ける音だとか、酒をグラスに注ぐ音だとか、そんなものばかり。
ソファーに2人並んで映画を観るなんて、まるでカップルじゃないか。
渡辺さんはいつもこうして並んでテレビを見て、夜になれば風磨と同じベッドで寝るのか。
随分と良いご身分だな、なんて思っても仕方ない。
今朝、渡辺さんからの着信に俺は出る事を躊躇った。
けれど、出てしまって良かったと思っている。
「っあ〜！最高に エ ロ かった！」
「おい(笑)。」
「これAちゃんと見てたら間違いなくベッドインだったな...」
「サイテーだなお前。」
俺は良いんだ。
前も言ったけれど、幼馴染として、風磨の側に居られるのなら。
期待なんかしない。ありえないから。
それに、バカらしいし。
「今日泊まってくだろ？」
「え？」
「いや、もう終電無いけど。」
いつの間にやら、電車の事すら考えないほど楽しんでいたらしい。
「あー、マジか。ならお世話になろうかな。」
「おう。服はテキトーに貸すし。ベッド使って寝てくれたらいいよ。俺ソファーで寝るし。」
「いや、風磨がベッドで寝なよ。明日早いっしょ？」
「なんで知ってんだよ(笑)。まぁ、ベッドは中島な。」
風磨の不器用なりの優しさが、時々胸に棘となり刺さる。
嗚呼、お願いだからそんなに優しくしないで。
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作者名：はる | 作成日時：2018年3月3日 19時
