キキョウの花を呪いに【呪術廻戦】

クロッカス ページ4

今の私には重すぎた



曇りも知らない眼差しで




私に愛を伝えてくる





それが何よりも温かくて






そして







何よりも怖く感じた









「A、最近あの五条家の坊の所に入り浸ってるらしいじゃねえか。」



『…あなたには関係ないでしょ』



「関係ない…か」


「随分冷たくなったなあ」




そう言って笑う姿に何度思いを寄せたことか。




「寂しくなっちまうじゃねえか。」



『思ってもないくせに…』



「そんな事ねえよ。」




真っ直ぐな彼とは正反対




淀んだ目




女にも金にだらしない男






でも、






惹かれてしまった






『やっぱりあなたってずるいのね。』




「さあ、どうだかな」


「こんな事言うのはお前だけだ…てな」



『そういうところよ』




何度も背伸びをした




彼に追いつきたくて





どういう人がタイプなのか、




髪は長い方が好きとか、口調が大人っぽい方がいいとか





でも、全部全部無駄なこと





私が頑張って背伸びしても、手を伸ばしても届かない物。




「俺にも少しはかまって欲しいな〜」



『はぁ、構ってくれる相手なら山ほどいるでしょ』


『それに私は子供よ？』


『こんな子供相手に構ってる暇はないんじゃない？』




こんなこと言いたいわけじゃない。





でも、最近になって少しずつ離れてこられてる






あの真っ直ぐな眼差しのせい







「本当に冷たくなったな」

「でも、俺は本当のことしかお前に言ってない」



「俺からしてみれば随分魅力的になったよ」




『うるさいわね。なに、ロリコンなの？』




「お前も人のこと言えないぜ、ショタコン」



『はぁ！？違うわよ！』



「そーでもなさそうだけどな」





ふと酷く悲しそうな顔をした







見間違えかと思った。




でも確かにその表情は見えて…








『らしくないわ、今日の甚爾』




「そりゃ、ずっと俺だけを見てくれてたやつが違う所へ行っちまいそうだからな」



『それって、私の…』



私の事？




そう言いかけた



「さあな、まぁ俺が遅すぎたんだよ」



「先越されちまったなあ」





そう言って私の頭をぐしゃぐしゃと撫でる



『ちょっと、意味わかんない！』




「俺も、お前も、変わるってことだよ」





「じゃ、またな？」



最後にはいつも通りの胡散臭い笑顔




「あとこれ、お前にやるよ」



そう言って私に渡してきた







紫色のクロッカス

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