キキョウの花を呪いに【呪術廻戦】

ハナマス ページ12

｢A、元気ないけど、どうしたんだ？｣


『あ、ごめん。ぼーっとしてたみたい！』



最近ずっと上の空


俺と話してる時も、


俺じゃないどこか遠くを見てるみたいで


すごく嫌だ




｢なあ、なんかあったのか？｣


『…な、なんもないよ』


ドギマギしてる


おかしい。


フツフツと腹が立ってくる



｢おい｣


『…なに？』



｢今日はもう家に戻れよ｣

｢最近ずっとおかしいぞ｣



本当は帰って欲しくない




でも、このままのAが嫌だ



『そうする』


『私おかしいね、ごめん』


そう言って外に出ていこうとする



不意に見えたAの顔



｢ちょっ、大丈夫かよ！！｣



俺が腕をとると同時にAがふわりと倒れる



｢おい！おい！！｣



呼びかけても返事がない


｢やべえ｣


｢すぐ部屋に連れてくからな、少しの辛抱だ｣






ｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰ




黒い渦の中に呑み込まれる




息が苦しい




『んぐ…』



黒い渦は勢いを増す



そして全てを覆い尽くす



『すぅっ…』




息を吸おうともがけばもがくほど



強くなる縛り




『おねっ…がぃ…』


『ぉさまっ…て…』





あぁ、私はここで死ぬのか




｢…A！！｣



｢…A！！！！｣




この声は、悟ちゃん…？




声が聞こえるとみるみる光が黒い渦から射し込む




眩しいくらいに





キラキラしてて







ああ、やっぱり悟ちゃんは私とは違うのね





この醜く黒い渦は私、そしてそれを消し去る綺麗な光が悟ちゃん







光の向こうから悟ちゃんの顔が少しずつ見えてくる





｢大丈夫か！！？俺、あん時Aが倒れて…｣




悟ちゃんの頬に手を添える




ああ、なんて綺麗なんだろうこの瞳は




私の色とは大違い





『心配かけてごめん』





ふたつの感情が心の中で混ざり合う




｢無事でよかった…｣




『ごめんなさい…』




｢謝ることないだろ｣


｢よかった…｣



優しく私に微笑むから


その手を離したく無くなるから



私はどうすればいいのか分からなくなる




近くにいるようでとっても離れてる




｢何処にも行くなよ｣



見透かすような目で



｢呪術師になるな｣

｢見てて怖い｣


｢いつか壊れそうで｣



言って欲しいけど、言って欲しくなかった言葉を紡ぐ



悟ちゃんに私がそう見えてることが1番嫌だった

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