信じていたのは私だけ ページ29
××
ああ、やめて。お願いだから。
セブルスが次に発する言葉が、私には容易に想像できた。
「ともだちじゃ、ない」
鈍い音が響いた。
目の前にいるのは頬を腫らしたセブルスと拳を赤くしたブラック。一方、ポッターはいろんな呪文を呟いてはいるが、どうもこの吊り上げの呪文の反対呪文は知らないらしかった。実際、私もこんな呪文があることを知らなかった。
「ああ、その呪文はな、セブルスが作ったレビコーパスだ」
すごいだろ、とマルシベールが得意気に鼻を鳴らすと今度はポッターがセブルスに駆け寄った。
「反対呪文は！？」
「……」
「教えてやっても良いんじゃなーい？もうこいつらのせいで台無しだしさ」
「リベラコーパス」
セブルスが杖を取り出し静かに唱えれば、あっという間に私の身体は元に戻った。それでも足の震えは止まらないし、なんならさっきよりも凄まじい吐き気に襲われる。床に屈み込む私を指差しながらマルシベールたちはけらけらけらと笑っていた。
「アドラー！行くぞ！」
ブラックとポッターに引きずられるようにして、空き教室から出る。すれ違う生徒がぎょっとして私達を見ていたが、ブラックもポッターも全く気にせず医務室に直行した。
その日はスリザリンの寮には戻らず、医務室で過ごした。マダム・ポンフリーは事情を聞かなかったし、説教もしなかった。震える私にホットミルクをくれて、毛布をかけてくれた。明日は試験当日だというのにこんなにも震えが止まらない。
試験一日目は散々なものだった。
試験会場である大広間に行けば、マルシベールたちが私を見ながらクスクス笑っているのだ。テスト中も彼らがいると思うとそれだけで集中できなかった。けれど、試験は二週間ある。明日から切り替えてちゃんと結果を残そう。その為に勉強してきたんだから。
「よーし……がんばるぞ……」
ぺしぺしと頬を叩いて、気合いを入れ直す。
何気なく図書室を見渡せば、二つほど離れたテーブルで一年生らしき男の子が必死で勉強していた。ネクタイの柄を見て納得する。
レイブンクローだ。私の視線に気がついたらしく、レイブンクロー生は顔を上げるとニカッと笑った。
「こんにちは！おや、驚きました。
あなたはスリザリンのクララ・アドラーさんですね？あなたの名は度々聞いていたんですよ！僕はギルデロイ・ロックハートと申します！以後お見知りおきを！」
真っ白な歯がきらりと光った。
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や(プロフ) - とても面白かったです……。主人公ちゃんとロックハート、クィレルとの絡みとかめちゃめちゃ良かったです！素敵な作品ありがとうございました！ (2022年3月20日 20時) (
レス) id: b5a009288d (このIDを非表示/違反報告)
ぴ - 初めまして。とっても面白くて大好きな作品です。応援しています！一つだけ気になったのですが、OWA試験ではなくOWL試験ですよ！ (2021年9月10日 14時) (レス) id: dbaf625547 (このIDを非表示/違反報告)
柊あんず(プロフ) - mikittyさん» 更新してすぐにコメントくださりありがとうございます！mikitty様は一番最初にコメントしてくださった時からずっと応援してくださっていて本当に感謝しかありません…！リセットの方でも宜しくお願いいたします！ (2021年9月9日 1時) (レス) id: 69139934db (このIDを非表示/違反報告)
mikitty(プロフ) - 完結おめでとうございます！！「リセット」期待しています！ (2021年9月9日 1時) (レス) id: 75972ecbb8 (このIDを非表示/違反報告)
柊あんず(プロフ) - 本都さん» コメント返信遅くなってしまい申し訳ありません…全部大好き、って最高に嬉しい言葉だなと思いました…本当にありがとうございます！こちらの作品はもうすぐ完結しますので最後まで宜しくお願いいたします！ (2021年9月8日 22時) (レス) id: 69139934db (このIDを非表示/違反報告)
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