暖かな冬、確かな温もり ページ25
××
結局、シリウスはどこかに行ってしまって、大広間には私とジェームズだけがいた。気まずさを感じているのは私だけなのだろうか、ジェームズはぼんやりと私のノートを眺めている。
「……クリスマス休暇、残ったのね」
「ああ。シリウスが帰りたくないって言うもんだからね。まあ、友達なら当たり前だよ」
「そう」
羽根ペンを動かす。
ポッターがじっと手元を見てくるもんだからやりずらいったらありゃしない。
「……ポッターは、卒業後の進路とか、もう決めてるの？」
それは単なる好奇心だった。
グリフィンドールの人気者。常に人に囲まれていて、おまけに成績も良い彼がどんな進路を進むのか、純粋に興味があった。
「そういうアドラーは？」
「……ないわ。なんにも」
唇を噛む。私には夢がない。未来がない。
やりたいことがない。気力がない。
「……教師とかどうかな」
それはあまりにも予想外の発言だった。
突拍子もない彼の言葉に呆気に取られていると、ポッターは愉快げに笑う。
「君、結構向いてると思うよ。魔法薬学の先生とかで良いじゃん」
「なんて適当なの……」
「君の成績的に考えて寧ろこれしかないと思うんだけど」
「なんで私の成績知ってるの」
現に、私は魔法薬学の成績が一番良かった。
「僕が知ってるんじゃなくてシリウスが知ってるの」
「ブラックはなんで私の成績まで知ってるのよ……」
「好きなんだよ、君のこと」
「は、はあ！？あの女たらしのシリウス・ブラックが私のことを好きですって？」
ポッターの悪戯にしては上手くないな、と思った。
ブラックが女の子をとっかえひっかえしているのはスリザリンでも有名だったし、そんな彼が私を好きになることなんて有り得ないだろう。
「僕は一年目で気がついたのに。現に、シリウスのガールフレンドには金髪の子や青い目を持った子が多い。……この意味が分からないとは言わせないぜ」
「……そ、そう。で、でも告白してくれないなら返事は返さないんだから！」
「ぷっ……ははっ……ま、そうだよな。
うんうん、やっぱり告白が一番。ところでエバンズを毎日デートに誘われて毎日断られてるんだけどこれってどういうことなんだろう？」
「前に言ってたわよ。あなたとデートするくらいなら巨大イカとデートする方が千倍マシって」
「わぁお。……ということは巨大イカになったらチャンスはあるってことかな？」
「あなたってほんとにポジティブよね……」
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や(プロフ) - とても面白かったです……。主人公ちゃんとロックハート、クィレルとの絡みとかめちゃめちゃ良かったです！素敵な作品ありがとうございました！ (2022年3月20日 20時) (
レス) id: b5a009288d (このIDを非表示/違反報告)
ぴ - 初めまして。とっても面白くて大好きな作品です。応援しています！一つだけ気になったのですが、OWA試験ではなくOWL試験ですよ！ (2021年9月10日 14時) (レス) id: dbaf625547 (このIDを非表示/違反報告)
柊あんず(プロフ) - mikittyさん» 更新してすぐにコメントくださりありがとうございます！mikitty様は一番最初にコメントしてくださった時からずっと応援してくださっていて本当に感謝しかありません…！リセットの方でも宜しくお願いいたします！ (2021年9月9日 1時) (レス) id: 69139934db (このIDを非表示/違反報告)
mikitty(プロフ) - 完結おめでとうございます！！「リセット」期待しています！ (2021年9月9日 1時) (レス) id: 75972ecbb8 (このIDを非表示/違反報告)
柊あんず(プロフ) - 本都さん» コメント返信遅くなってしまい申し訳ありません…全部大好き、って最高に嬉しい言葉だなと思いました…本当にありがとうございます！こちらの作品はもうすぐ完結しますので最後まで宜しくお願いいたします！ (2021年9月8日 22時) (レス) id: 69139934db (このIDを非表示/違反報告)
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