暖かな冬、確かな温もり ページ23
××
シリウスは私の腕を掴んだまま何も言わず、ただ黙っていた。彼を見つめる。これ以上シリウスを責めたって、無駄に彼の心を傷つけるだけでなんの答えも得られないということは明白。
「……もう何も聞かないわ」
彼の表情が僅かに和らいだ。
そしてゆっくりと私の腕を離し、長い睫毛を伏せる。その顔はやっぱりレギュラスに少し似ていて兄弟であるということを改めて実感させられた。
「……じゃあね」
それだけ言って、私はゆっくりと寮に戻った。
不安な心を抱えたまま。けれど、私には何も出来ない。ただセブルスの無事を祈ることしか出来ない。無力な自分があまりにも憎かった。
翌日。大広間でセブルスを見つけて、私は喜びと安堵から泣きそうになった。彼と離れた席に座って、セブルスの横顔を見る。いつもより暗い顔をしていて、何かあったことは間違いなかったけれど、今はその心配よりも彼が生きていたことへの安堵感しかない。
「良かった……」
「何が？」
向かいの席に座ったのはバーテミウスだった。
不思議そうな顔をする彼に曖昧な微笑みを向けて、チョコレートパイを口に入れる。いつものことながらホグワーツの料理は最高に美味しい。お陰さまで太ってきた気がする。
「そういえばもう少しでクリスマス休暇だね。
バーデミウスは家に帰るんでしょ？」
「俺はそのつもりだけど……」
「私は今年は帰らないからちょっと寂しいな。
セブルスもレギュラスも帰っちゃうしさあ」
今までは孤児院に帰っていたが、今年は帰らないことにした。何しろ、五年生に上がったらOWA試験があるし、ただでさえ魔法薬学以外の成績が大ピンチな私はもっと勉強時間を増やさなければならない。孤児院でホグワーツの勉強はできないし、ホグワーツに残れば先生方にも教えてもらえる。
「ふーん……」
「クリスマス、楽しんでね。あ、そういえばクリスマスプレゼントも用意したのよ！」
週末にホグズミードで買った紫色のネクタイを取り出した。高級感があって一目見た瞬間からバーデミウスに似合うと思ったのだ。彼は驚いたように目を開いてから柔らかく目を細めた。
「バーデミウスも、お土産よろしくね」
「……ああ。期待しとけ」
リリーには百合の花が描かれたヘアブラシをプレゼントし、リーマスに手袋を渡すようにお願いした。ダンブルドア校長には毛布を。セブルスにもリリーとお揃いのヘアブラシを。もちろんお揃いってことは教えてないけれど
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や(プロフ) - とても面白かったです……。主人公ちゃんとロックハート、クィレルとの絡みとかめちゃめちゃ良かったです！素敵な作品ありがとうございました！ (2022年3月20日 20時) (
レス) id: b5a009288d (このIDを非表示/違反報告)
ぴ - 初めまして。とっても面白くて大好きな作品です。応援しています！一つだけ気になったのですが、OWA試験ではなくOWL試験ですよ！ (2021年9月10日 14時) (レス) id: dbaf625547 (このIDを非表示/違反報告)
柊あんず(プロフ) - mikittyさん» 更新してすぐにコメントくださりありがとうございます！mikitty様は一番最初にコメントしてくださった時からずっと応援してくださっていて本当に感謝しかありません…！リセットの方でも宜しくお願いいたします！ (2021年9月9日 1時) (レス) id: 69139934db (このIDを非表示/違反報告)
mikitty(プロフ) - 完結おめでとうございます！！「リセット」期待しています！ (2021年9月9日 1時) (レス) id: 75972ecbb8 (このIDを非表示/違反報告)
柊あんず(プロフ) - 本都さん» コメント返信遅くなってしまい申し訳ありません…全部大好き、って最高に嬉しい言葉だなと思いました…本当にありがとうございます！こちらの作品はもうすぐ完結しますので最後まで宜しくお願いいたします！ (2021年9月8日 22時) (レス) id: 69139934db (このIDを非表示/違反報告)
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