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離さないでって言ってみた×高杉 ページ30

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離さないで


そう呟いた言葉は宙に舞って落ちてゆく。
足枷となる言葉は彼に届かないまま。









「…一体どういう風の吹き回しだァ?」

「……ごめん、なさい」


ぐっ、と肩を思い切り掴まれて私は顔を思わず下に向けた。痛い、と言っても今の彼はやめてくれないだろうと分かっていたから。

痛みに歪めた顔を見られないように。


「ーーー忘れた訳じゃないよな」

「…うん」


語尾にはてなマークが付かないのは確信なのか、それともそう言え、と催促してるのか。多分、後者。だから私も頷くしかない。


彼、もとい、高杉との出会いは半年前。
元彼にフラれたあの日、私はちょっとお洒落なバーに置いてきぼりをくらった。

ごめん、というその一言と共に。

立ち上がって追いかける気力すら残っていなかった私は慣れないお酒を煽ってかなり酔っていた。

そんな中、私の隣に座ってきたのが高杉だった。

セフ レにならないか。

しらふだったらぶん殴っていたであろうその一言が、その時の私にはなぜか救いの言葉のように思えたのだ。じゃないと了承なんてしてない。

しかも条件として私と彼が寝るたびにお金が渡される。少し引いたけど、お金に凄く余裕がある訳じゃない私は少しずつ抵抗感がなくなっていった。

もう一つ。

私は彼が呼び出したときにいつでも会いに行って抱かれなければならない。その反面、私のプライベートは自由。誰と付き合ってもいい。

彼のプライベートには首を出してはいけない。
知っているのは名前だけ。

どこに住んでいるのかも、何の仕事をしているのかも、何も知らないし教えてもらえない。

彼を引き留めてはならない。

この私たちの間に愛なんて無いと思ってたし芽生えないと思っていた。

なのに、私は行為が終わって翌朝眼が覚めると居なくなっている彼に寂しさを覚えてしまって。

冒頭にあるように、彼を引き留めてしまった。




「ーーー…本当に、何でも無いの。ちょっと一人で寝るのが怖くなっちゃっただけ。昨日怖い夢見ちゃって、それで、」




彼に嫌われたく無い一心で何とか平常心を保とうと嘘に嘘を重ねる。

違うの。本当は離れて欲しく無いの。離さないで欲しいの。

愛が、育てばいいと。

ただ、それだけなの。



でも、




「…なら、これでいいだろ」




私の額に優しく口づけを落として部屋を出て行った彼の背中を見つめることしか出来ない。




((…ずるいよ、))

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設定タグ:銀魂 , 短編集   
作品ジャンル:恋愛
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雪うさぎ - トッシーがみたいです! (2019年7月18日 19時) (レス) id: cd19b8b7b7 (このIDを非表示/違反報告)
Y.O18 - 沖田くんと自転車二人乗り...羨ましいっ! (2019年3月31日 9時) (レス) id: e9f436c148 (このIDを非表示/違反報告)
ビスコ(プロフ) - ブッハ!!!サイコーですね。 (2019年2月21日 12時) (レス) id: 251e52ea6f (このIDを非表示/違反報告)
Hanavi(プロフ) - 了解しました!こんな感じで大丈夫でしたか…?気に入って貰えたら嬉しいです。 (2019年2月21日 12時) (レス) id: 5a9b3d8683 (このIDを非表示/違反報告)
ビスコ(プロフ) - 嫉妬した土方リクエストしま〜す! (2019年2月21日 11時) (レス) id: 251e52ea6f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Hanavi | 作成日時:2019年2月17日 17時

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