甘々つめこみ

会いたいって言ってみた×土方 ページ28

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「会いたい」



思わず漏れた言葉は、慌てて口をおさえても手遅れになった。

電話越しで君が息をのんだのが分かって、私は電話を切りたくなる。

あぁ、いつから私はこんなにわがままになったんだろう。

触れるだけで満たされていたあの頃から私は随分と変わってしまった。









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私と彼氏の十四郎は遠距離恋愛を始めて一年が経った。

東京の私と兵庫にいる彼。

はじめのうちは夜11時に電話をするって決めて毎日してた。寝落ちなんてしょっちゅう。大体私だけど。

彼の息遣いとか、電話越しでも分かるんだなんて思って私ってば変態っぽいなんて考えていたあの頃の私はまた幸せだった。

気づいたら電話が繋がらないなんてことが増えて、毎日が3日に一回になって、それが段々拍車がかかって、

物理的な距離よりも心の距離の方が遠くなってしまったように感じて。

寂しいのも私だけ？

会いたいって思ってるのも私だけ？

ねぇ、もうすぐ私の誕生日なんだよ。

覚えてる？気づいてる？

彼が毎日どんな生活を送ってるのかも分からないこんな生活が苦しくて。

私よりも美人が現れたら彼はどうするんだろう。

彼は真面目だから。だけどモテるから。

もう何ヶ月も会ってない彼女(わたし)なんかよりもずっとずっと魅力的に見えてしまうんじゃない？









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「…来週、空けておいて」

「空けてある」


私の発言には触れずに、私の好きな低い声で発した言葉に自惚れてもいい？

“来週”

私の誕生日

会いに来てくれるってことでいい？そう解釈してもいい？


「ーーー…俺だって、」

「？ 何か言った？」


その後が聞こえなくて、聞き返しても彼は何も返してくれなかった。

じゃあ、なんて言って切れてしまった電話に、画面を見つめて何か考えてみるけど彼が発した言葉は想像がつかなくて。

それでも電話をかけたあのはじめの頃の私の重たい気持ちは何処かへ飛んで、消えていて。

彼は魔法使い。私専属の。

来週のために綺麗にならないと。

彼に会って、もう離さないんだから。





(…俺も、会いたい)

((何て言いたかったんだろう、？))

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