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誘惑王子68 ページ21

いつもと変わらない、特別変化の無い普通の朝




度々登校時間が一緒になる彼の姿を、自然と探してしまう





門を過ぎ、昇降口を過ぎた




階段、廊下でさえすれ違う事は無く





どこか期待していた自分に、小さくため息をついた





つむぎ「....」




なずな「おはよ、つむぎちん。どうした?教室に入らないのか?」




つむぎ「...!おはようございます。入りますよ、少し考え事をしていただけですから....」




俺がそう言うと、不思議そうに小首を傾げる彼



....あぁ、そうだった。Aくんは可愛いらしい子が好きだったはず




でも、一体何が基準なんでしょうか.....?






なずな「な、つむぎちん。ちょっと相談があるんらけど...」




つむぎ「相談ですか?」





俺の席の側に来て、身を屈めて、こそこそ話でもするような体制




ざわざわと騒がしい教室の隅で、彼の小さな声がよく聞こえた






なずな「Aちんのこと、どれくらい好き?」





兎のような赤い瞳が、鋭く光る



少し俯いて、前髪が顔にかかり表情はよく読み取れない




きっと、俺も聞きたかったその質問を、彼は素直に問いかけた







どこか曖昧で、ずっと上手く言えなかったその答えを....




”彼”の声が聞こえた瞬間、すんなりと口にした







つむぎ「俺は....________。」





なずな「....そっか。」






目の前の彼は、ふわりと笑った






.







A「レオくんお届けに来ました〜...♪」



レオ「やめっ....ちょ、本当に恥ずかしいんだけど!!A〜っ!?」



なずな「レオちん騎士からお姫さまにジョブチェンジしたのか?」



レオ「するわけ無いじゃん!」




笑いを堪えながら、ナズが茶化してくる



上からはAの小さな笑い声が聞こえるし、あぁもうっ!!!



お姫さま抱っこは嬉しいけど嬉しく無い!




A「よいしょっと......。ふふ、この子は悪戯っ子だからね.....お仕置き...♪」



なずな「何やらかしたんだよレオちん...?」





う”....確かにおれが最初にやらかしたのが原因だけど......




チラッとAの顔を見上げれば、Aの言う『悪戯っ子』そのものの表情。



意地悪く微笑み、「なぁに?」なんて問いかけられれば、こっちはたまったもんじゃない。




元はと言えば、Aが誘惑してくるから.....!!!







―――数分前。






今朝は早くに、公園からそのまま登校したおれは、人気の無い学院をふらふらと歩いていた




よく見かけるオレンジ色の猫がおれの足元をすり抜け、その向かった方向に歩を進めると...

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作者名:朝凪世一! | 作成日時:2020年5月1日 15時

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