誘惑王子67 ページ20
A「...」
休み時間に外に出て、そのままガーデンテラスの席に腰をかけたままチャイムの音を聞く
頬杖をつきながら、空いている方の手でころころとビー玉を転がす
きっと、誰かが忘れていったんだろうなあ...
今日は曇り空だけど、それでもキラキラと景色を映す球体に、小さな笑みが溢れる
まるであの子たちみたい。
なんて、可愛い可愛い彼らのことを思いうかべながら。
A「......ユニット...
...声、かけてみようかな」
ごろん、とテーブルの上に突っ伏して、ぽつりと呟く
なんだかんだで、やっぱりユニットを組もうかと思う程、俺は変わったのかもしれない。
来年、卒業した先でそのままアイドルを続けられるか、なんて聞かれたら...きっと素直に頷けない
...愛を伝える相手。...それはきっと、何人居たって良いはずだよね...?
1人で全てをやっていく事の重さ、背中を預けられる相手、
...俺は、
.......抱きしめるだけじゃなくて、抱きしめられたかったんだ。
きっと、隠してただけだ。
みんなが思うより、寂しがり屋だった
それでも心の底から溢れてくる愛情を、彼らに伝えていたいのは本当で
...やっぱり、
『友人』になりたかったんだってこと。
恋人ごっこより先に、愛を伝えあえる、ただの友だち。
それが、俺の願いだった
だから....
A「もしもし、...久しぶりだねって?...うん。何となく、...
ううん。...声が聞きたかっただけだよ」
ほんの少し、進んでみようと思えた。
A「突然でごめんね...♪...アイドルの事なんだけど...」
.
スバル「っふふふ、見てみてあんず!俺が置いてったビー玉のトラップに引っかかった誘惑王子!」
あんず「天使?それとも幼女?...うわっっ何かちょっとご機嫌そうだしアッこっち見たしかも手振った可愛い無理しんどい」
スバル「誘惑王子〜!もしかしてサボり〜?」
移動教室で渡り廊下を通りかかった私たち。
スバルくんが手を振りながらそう聞くと、「えへへ...♪」と何やらバブみの増した笑顔で返された
あの色気だだ漏れ激甘やかしお兄さんどこ行った...?
とりあえず激写...
そう思ってカメラを取り出すと、いつの間にか目の前に来ていた誘惑王子に頬をつまんで伸ばされた
A「めっ。...ふふ、まだ懲りないの?」
いやこれなるだろどう考えても。
『めっ。』じゃないよもおおおう!!!
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作者名：朝凪世一! | 作成日時：2020年5月1日 15時
