episode 157 −昔のこと− ページ37
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ショウくんが突然やって来た。
あれから今まで
オイラを避けてるみたいだったのは気づいてた。
避けてるってのとは違うかもしれないけど…
でもそれはそれで
オイラにはありがたかった。
それが今日、突然やって来て
『聞きたいことがある』
っていわれた。
『聞きたいことってなんだよ?』
そうひと言いえば済むはずなのに
なぜかそれがいえない。
なんでかわかんねーけど
聞くのが怖かった。
「オレさ、なんか昔のこと思い出しちゃって…」
「昔のこと?」
だから『なんで昔話なんだよ』って思ったけど
ちょっとホッとした。
「いや、ほらすっげー前にさ
カズが隣町のゴロツキに絡まれたことあったでしょ?」
「ああ…そういやそんなことあったっけ…」
「あん時のサトシくん、すごかったなぁって。
4・5人いただろ?」
「あんまおぼえてねぇや…」
「いたよ、いたいた!
オレあん時、この人マジすげぇなって思ったもん!
サトシくんもボロボロになってたけど
相手も結構ダメージ受けててさぁ…」
「あれは…オイラはただカズを…」
「うん、そう、そうなんだよね…
あの頃から…ううん、もっと前からか。
サトシくんは、ずっとカズを守ってきてたんだよね…」
"ドクン"
心臓がはねる。
「あれって、おばさんが亡くなった後だったよね。
ってことは、もう……」
「……ああ、知ってたよ。」
「そっか…そうだったんだ。」
「……それが、なんなんだよ?」
"ドクン…ドクン…"
鼓動が早くなる。
口が渇いて、声がかすれる……
「うん…いや、あのさ、オレずっと不思議だったんだ。」
「…何が?」
「どうしてサトシくんはそこまでして
カズを守ろうとするんだろうって。」
「……」
ショウくんは
何を……
何を言おうとしてるんだろう…
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作者名:folklorist | 作者ホームページ:http
作成日時:2013年8月9日 14時