episode 149 −沈黙と笑顔− ページ29
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「…あの…ショウさん?//」
「…え?!ナニ?」
カズに名前を呼ばれ、ハッと我に返った。
「あの…僕の顔に、何かついてます?///」
「え?!あ、あ!ゴ、ゴメン!!
いやちょっとボーっとしちゃって…///」
「ウフフ…めずらしいですね、ショウさんがボーっとするなんて。
お兄ちゃんなんて、いつもボーっとして、る…けど……」
あ!笑った?
…と思ったのに
『お兄ちゃん』
という言葉で、途端に淋しげに俯くカズ…
オレは、言葉を選びつつ
できるだけいつも通りに振る舞う。
「ナニナニ?どした〜?
またサトシくんとケンカでもしたの?」
「いえ、そんなんじゃ…ただ…」
「ただ?」
「いえ、いいんです。
なんでもありません。」
そしてまた"ふっ…"と短い溜め息をついた。
オレはこういう時
どうしていいか分からなくて
本当に困る。
性格的にどうしても正解を求めてしまうけど
こんなことに正解なんてある訳ない。
わかってるのに…
わかってるからこそ
何も言えなくなってしまう…
2人の間に微妙な沈黙が流れ始めたその時…
"バタンッ!!"
「ちょっと、ショウちゃん!!
なんで起こしてくんなかったんだよ!!」
ドアが壊れそうな勢いで開くと同時に
息せき切ってマサキが飛び込んできた。
「オレ、昨日言ったよね?
明日、絶対おじさんの話教えてよねって?!」
「おい!マサキ!!」
若干キレ気味のマサキにキレ返しつつ目で合図を送ると
ようやくカズの存在に気付く。
「あ?!カ、カズちゃん?いたの?
じゃなくって、おはよ〜!
今日もカワイイね♪なんつって〜」
「なんつってじゃねーわ!!」
オレは思わずマサキの頭を
「ってーなぁ!
元はといえば、ショウちゃんが起こしてくんないからじゃん!!」
「クスクスクス……おはようございます。
マーくんさん、相変わらず朝から元気ですね♪」
「エヘヘ…まあね…」
鼻の頭をポリポリ掻きながら
マサキがオレを見る。
それに思いきり睨み返しておきつつも…
まあ、いいタイミングで微妙な沈黙を破ってくれたし
なによりカズがまた笑ってくれたから
いっか?
なんて思ってるオレがいた。
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作者名:folklorist | 作者ホームページ:http
作成日時:2013年8月9日 14時