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episode 148 −言い伝えの先にあるもの− ページ28

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『そうして生まれたのがカズ…ってこと?』


『そういうことだ。』


『それで"仕えてたって"どういうことなの?』


『まあそう焦るな。』








やがて王と王妃が亡くなると

皆、城を離れた。


ごくわずかな事情を知る者達だけが

我々と合流し、村人としての生業を営みながら

残された王女をお守りするという使命を全うしてきた。








『それでうちは店を始めたのか…
で、その人たちって最初はどれくらいいたの?』


『さあなぁ…俺が知ってる限りでも
今残る三家の他に2〜3いたかどうかって感じだったと思うが…』


『そうなんだ…みんな、森へ?』


『たぶんな…
誰も見た者はいないから憶測に過ぎないが…』


『そういえばさ、お城ってどうなったの?
この辺のどこにもそれらしいものないよね?』


『ああ、城か…』








跡を継ぐ者がいなくなった城は

城を去る忠誠心を持たない者達による破壊と略奪で

見るも無残な姿になってしまった。


荒れ果てた城を見かねた我々の仲間が

もはや何の痕跡も残らないように全て打ち壊した。


そして時が過ぎ、瓦礫の上に草が生え…








『…お前は行ったことないと思うが
森を抜けたずっと先に小高い丘がある。』


『ああ、行ったことはないけど…
ていうか行っちゃいけない場所だろ?
でも場所は知ってるよ。
え?まさかあそこが…』


『あそこが城のあった場所だ。
俺も城が城だったのは見たことないが
あそこには一度だけ行ったことがある。
そしてそのうちお前も…サトシも
行くことになるだろう。』


『え?オレとサトシくんが?なんで?何しに?』


『永遠に変わらぬ忠誠を誓うためだ…』


『永遠に変わらぬ、忠誠……?』





.





―――あの時

親父の話を聞きながら

だんだん頭がクラクラしてきたのを思い出す。





『永遠に変わらぬ忠誠』





それを誓ったら

オレ達は何か変わるんだろうか?








オレが胸に抱くカズへのこの想いも

やっぱり捨てなければならない日が

来るんだろうか……





.

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作者名:folklorist | 作者ホームページ:http  
作成日時:2013年8月9日 14時

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