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episode 144 −言い伝え・1− ページ24

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――その昔…


この地には何人かの魔女がいた。


ある者は人里離れた森の奥深くに…

ある者は森にほど近い村のはずれに…


住む場所こそ違えど

そのいずれもが森と共に生き

精霊達の持つ大いなる力を操ることのできる

いわゆる白魔女と呼ばれる魔女たちだった。





王国はその建国当初から

魔女たちと友好的な関係を築いていた。


魔女達はその稀有な力で王国を、人々を導き

時に癒していた。


また王国は、その力の源でもある森への

絶対不可侵を約束していた。


互いは立場を尊重しつつ、共存していたのだった。





但し、魔女と(まみ)えることができるのは

王ただ一人であった。





.





そして月日は流れ…


王国では、お世継ぎが生まれては間も無く亡くなるという

悲劇が度重なった。


ある者は1歳の誕生日を迎える前に

ある者はこの世に生まれることなく…





王の悲しみを知った魔女達が原因を探り

『王に近い何者かが、森の精霊達の力を搾取している…』

と告げた。





森には多くの貴重な鉱石や宝石の眠る洞窟があった。

だがそれらも全て

魔女の力の源となる精霊と深く結びついている。

そのため、森は不可侵なのだ。





だが、それを破り

森に踏み込んだ者がいるという…


しかも王に近い何者かが……





傷つけられた森の精霊の負の力が

王に災いをもたらしているという。


誕生という、自然界の最も神聖な出来事に

森の精霊達の力は深く関わっているのだ。


そこに負の力が入り込んでいる間は

悲劇は繰り返されるだろう…

と魔女達は告げた。





王はすぐにその者と、その場所を探し出すように命じた。


魔女達にはわかっていたのだろうが

そのことには一切口を閉ざした。





その者は慌てた。

まさか、自分の所業が魔女によって明らかにされるとは

夢にも思っていなかったからだ。





王の従兄にあたる、その男は

見たこともない魔女の力も

ましてや森の精霊も

信じてはいなかった。


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作者名:folklorist | 作者ホームページ:http  
作成日時:2013年8月9日 14時

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