episode 141 −今まで通りで…− ページ21
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「はぁ。。。」
この頃店に来ると
カズはよく溜め息を
たぶん、自分では気付いていないんだろう。
「あれ?ねえカズ、この前ここにあったヤツって…」
「………」
「…カズ?」
「…え?あ!ご、ごめんなさい!
なんですか?」
「ん?いや、なんでもない。
ここにあったのがどこ行ったのかと思ったんだけど
あそこにあったよ。」
「そう、ですか…」
話しかけても
心ここに在らずな感じで…
この店を手伝ってもらうようになって
もう随分経つけど
こんなカズは今まで見たことがなかった。
あの日……
カズがサトシくんから
何をどんな風に聞かされたのか
オレには知る由もない。
あの後、サトシくんに会った時
1度だけ、その時のことを聞いてみた。
『うん…ちゃんと話したよ…』
『…どこまで?』
『ん?もちろん全部…包みかくさず、ね。』
『全部って…まさか…』
『全部は全部だよ。
それ以上も以下もない、全部だ。』
まるで、この話はこれで終わり!
と宣言するかのようにそう言うと
それっきり口をつぐんでしまった。
なんとなく、はぐらかされた感じだった。
…と、言うよりは
これ以上聞いてくれるなって感じかな?
どんなに辛かっただろう?
あんなに可愛がってた妹に
真実を告げなければいけなくなった心中は…
しかも、血の繋がらない兄妹というだけでなく
主と従だったなんて…
聞かされたカズにとっても
まさに青天の霹靂…
今まで、実の親兄弟と思っていた人達が
赤の他人だったなんて…
オレなら……
もう何を信じていいのかわからなくなりそうだ…
ただカズの様子からは
そこまでの不信感は感じ取れない。
オレがニブいから…じゃあないよな……
でも、心に何か抱え込んでしまったのだけは確かなようだ。
………って、当たり前か…
.
『ショウくんがカズを支えてあげて欲しいんだ。』
サトシくん………
.
.
だからオレは、オレだけは
今まで通り、いつもと同じように接して行こう
そう心に決めていた。
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作者名:folklorist | 作者ホームページ:http
作成日時:2013年8月9日 14時