こはく色の縁【朱桜司】 (ページ4)

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パートナーページ4

いわゆる、一目惚れってやつかな

よくこっそり見ていた少女漫画で描写される、ヒロインがヒーローに恋をするときの"ズキュン"っていう音

あれがリアルに頭の中に鳴り響いたってかんじ

あの人の全てがまるで王子様のようだった

一時はどうなることかと思ったが、あんな素敵な人と結婚できるかもしれないなんて夢のような話だ

あの日から司様とよく食事会やお散歩に出かける

もちろん、親による、私たちの意思とは関係なく連れてこられたお出掛けではあるが、日に日に司様のことを知っていくことができるのが嬉しくて、仲良くなることができるのが幸せで、その辺りから令嬢教育も苦ではなくなっていた

そのことを毎度、司様に会った後日こはくちゃんのところに伝えにいくと、こはくちゃんはちょっと苦笑いしつつも、「よかったな」と言ってくれた

「Aさん?どうか致しましたか?」

そんなことを考えながらボーッとしていた私に司様がそう問いかける

『あ、すみません!少し考え事をしておりました!』

「……何か、お困り事でもあるのですか?」

『いえいえ!!司様にお話しするほどのことでもないですので……!』

本当はしっかり司様のことを考えていたし、自分の中では初恋という大事件が巻きおこっているのだが、さすがに正直に司様に話すわけにもいかず、必死にごまかした

すると司様はすこし不満げな表情をしてこちらを見ていた

あら、司様なら「ならよいのですが」なんて優しい笑みを浮かべて言ってくれると思っていたのに

「……A様、私たちはいずれ結婚する関係です。ですから、司は貴女とはなにも隠し事のない、本物のパートナーになりたいのです」

司様はまっすぐに私の目を見て、そうハッキリと言った

……司様と過ごして、一つ気づいたことがある

司様は堂々としている

そして、勢いのまま、私をドキドキさせることをサラッと言ってのける

私は、そんな司様にどんどん夢中になっていくのだ

だけど、司様があまりに真剣な顔をするものだから、そこに照れなんて感情がすこしもなさそうだから

司様は私のことはあくまでパートナー

私のように好きな人とは認識してくれていないことを察してしまってちょっとさびしくなる

『はい、ありがとうございます!』

今できる最大限の、こはくちゃんが可愛いって言って褒めてくれた満面の笑みを彼に向ける

すこしでも、彼の目に私が可愛く映りますように