【刀剣乱舞】壱を求める話

411pager ページ22

･





告げられたのは、兄の死。

私が神降しされている間に
一年の月日は流れていた様だ。
その一年で兄は力を身に着け、
兄は私を助ける為に【神降し】を
再度行ったのだという。

兄は、神降しによって呼び出した
天探女にこう言った。

“妹を、返してください”と。
それに対して天探女はこう答えた。









天探《アレを妾は気に入った。
そう簡単に返してはやれんのぉ》


「な、なら………僕を代わりに連れて行って！
だから妹には手を出さないで！」


天探《嫌じゃ。妾は双子の娘の方を気に入った。
そして既にうぬは歳が八つなっておる。
七つの内は神のモノ。うぬに興味などない》


「ｯ………僕、絶対に逃げません。
あなたの言うとおりにします。

だから、妹を返して………。
僕の、家族なんですっ」









兄は天探女に土下座をしながら、
そう請うたのだと聞いた。
その時、天探女はそんな兄に対してこう答えた。









天探《………くふふふっ。
では妾と遊ぼうではないか。
うぬに免じて、あの娘とうぬを取り替えてやろう。
うぬは妾の邪魔をした。
だからうぬが壊れるまで、遊び尽くしてやろう。

ただし、あの娘が再び【神降し】を行った時。
妾はあの娘を頂こう》









カミサマはそう兄に条件を出した。
そして、兄は【神と約束】してしまったのだ。

兄のお陰で………私が現世に戻ってこれた事。
それを察した私は、再びカミサマに失望したんだ。




───────────────








『お兄、ちゃん………お兄ちゃぁぁあっ！！』









泣いて、泣いて。
あれほど泣いて、もう涙なんて出ないと思ってた。
私にとって、唯一無二の存在だった兄はもう居ない。

私達は双子で、片割れが居なくなってしまっては、
自分の半身を失ったみたいで………



悲しくて、悲しくて。
カミサマが、憎くて仕方なかった。



名前もない兄が。
私何かの為に、カミサマと約束してしまった。
兄はもう、戻らない。

自分が神域から出られたのは、兄のお陰なのだ。






自分が惨めで、嫌だった。

嗚呼、どっちにしたって、
この世界で生きていくには………
とても、辛すぎる。

412pager→←410pager

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す