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私達双子には、生まれながらに
“名前”は存在していない。
7つまでは神の内。
7歳までは神の手の内に人の子は存在しており、
自身を守る力がまだ備わってない時に
名で縛ってしまうと狙われやすくなるからだ。
私は兄の名を知らない。
だから、お兄ちゃんとしか呼べなかった。
でも………私の兄は優しい人だった。
何時だって一緒にいて、
辛いときでも二人で居たら寂しくなかった。
名も分からぬ兄は。何時だって───
けれど。
私は………この体に流れる血が。
桜真の一族の血筋が。四重家が。
憎くて、憎くて。仕方なかった。
だって………この血が、兄を殺したのだから。
───────────────
とある夕暮れ時だった。
7歳の誕生日。
その日はようやく名前を貰える日で、
私は浮かれていた。
小学校では偽名を使っていたから、
母から貰う初めての誕生日プレゼントが
“名前”である事が嬉しかったのを覚えている。
兄もそれは同じ気持ちだったみたいで、
二人でどんな名前が貰えるのだろうかと
話していたような気がする。
「若様。お嬢様。儀式の準備が整いました」
『はぁい』
「いこ」
『あ、お兄ちゃん待って!』
村の神社を管理してる人が私達双子を呼ぶ。
その日は神社でカミサマにこれまでの成果を見せ、
習った【儀式】を披露する。
………事前に知らされていたのは
そんな感じの内容だった。
それが大人達による“嘘”である事も知らずに。
私達はまだ7歳で、大人達の思惑に
気づける程の歳じゃなくて。
母の、ただの操り人形である事に気付けなかった。
その儀式が【神降し】の儀式だったなんて。
知らなかったんだ………
───────────────
兄と儀式を行った時、その神は現れた。
最初は綺麗な女神様だと思ってた。
天探《嗚呼………もう四重家には
力を持つ人間は居ないと思っていたのじゃが、
くふふふっ………そうか。
双子で生まれたのじゃなぁ?》
その神は不気味に笑いながら、
目の前に現れてはマジマジと私達双子を見ていた。
それはまるで、品定めするかの様な感じで。
そして、選ばれてしまったのが───私だった。
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冷泉 雪桜(プロフ) - ネコマタさんのちょびひげさん» とても心に来る叫び、届きましたー!!いつもありがとうございます。今回は主人公の成長とバラバラになっていた本丸の刀剣達が一つになりつつある描写が書きたかったので、楽しかったですー! (2021年8月31日 20時) (レス) id: 18535e1a43 (このIDを非表示/違反報告)
ネコマタさんのちょびひげ(プロフ) - 鶴丸さん滅茶苦茶に体張ってましたね。いやみんなMVPですけれども!(ほんと誰目線なんですかねすみません)でも、腕とか目とかほんとドキドキしっぱなしでした…。なにせ白焔シリーズが……ハハッ。大好きですけどね!白焔シリーズ!!!ふう…。怒濤の長文失礼しましたっ! (2021年8月31日 20時) (レス) id: d3a88c7d37 (このIDを非表示/違反報告)
ネコマタさんのちょびひげ(プロフ) - はい、ほんとうに成長していました…。随分長く見守っていたからか、なんだかもう親のごとく号泣させてもらいました。(おま誰目線や)…詩重ちゃん、ほんとうに良かったねえええ!幸せにね!これからも見守らせてね! (2021年8月31日 20時) (レス) id: d3a88c7d37 (このIDを非表示/違反報告)
ネコマタさんのちょびひげ(プロフ) - 冷泉 雪桜さん» はっ、長谷部ええええ!!!!叫んでごめんなさい!!!でもこれは叫んでもいいですか!?なんだかほんのり……あれっ!?思い出しかけてるような……。やはり別個体の神域のなかで、共に別個体の鶴丸と神域仲間の大倶利伽羅がいたからでしょうか…… (2021年8月31日 20時) (レス) id: d3a88c7d37 (このIDを非表示/違反報告)
冷泉 雪桜(プロフ) - ネコマタさんのちょびひげさん» 本当は、神隠しが何よりも怖いものなのに、それを承知でやった所がとても彼女の成長を感じますね。 (2021年8月27日 21時) (レス) id: 18535e1a43 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:冷泉 雪桜 | 作成日時:2021年8月16日 11時