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『やだっ、やだぁっ！』
天探《おお、何て力の強い子じゃ。
憂いよのぉ………愛しい人の子。妾のモノ………》
その神は私を捕まえると、大層気に入ったのか
私を使って弄んでいた。
優しく私を抱き締めているのに、
私の泣く顔を見たいと言ったように
折る勢いで腕を強く引っ張ったり、
黒く、長い爪で私の首元を引っ掻いた。
嗚呼。このカミサマは怖いものだと気づいた私は
母に助けを求め、助けを請う。
でも母は、神楽舞をする為の舞台で
天探女に弄ばれている私をただ見るだけだった。
そして………周りにいる四重家と
関わりのある親族たちはこう言った。
「嗚呼、天探女様。
どうか我らの願いを叶えてください。
その子供を贄として、我が願いを」
…………そこには。味方なんていやしなかった。
カミサマなんて居ないのだと知った。
カミサマは助けてなんてくれない。
その言葉を聞いて、プツンッと………
何かが切れた音がした。
瞬間。私は天探女に抵抗出来なくなり、
そのまま………連れ攫われた。
「嫌だ………嫌だ！！駄目っ、行かないで！
天探女様、妹を………連れて行かないで！！！」
兄のその言葉を最後に、
私は天探女によって神域に隠された。
─────────────────
神域。
そこは天探女によって作られた、
彼女の為の理想郷。
神域はいつも夜で、辺りは暗い。
暗い中を照らすのはあちこちに浮かぶ鬼火。
どこまでも続く参道や、
古い町並みがそこにはあった。
その中で、私は天探女に好きなように愛でられた。
ある時は幻覚を見せられ、発狂するかと思った。
ある時はひたすら私の体を撫で、愛でる。
またある時は、鬼ごっこのように
逃げる私を天探女が操る眷属である
紙人形に追いかけ回されたりした。
『ｯ…………！ﾊｧﾊｧ、ｯﾊｧ！』
天探《くふふふっ………！
どこまで逃げる気かえ？
ほれほれ、逃げてみよ。
どの道うぬはここから逃れられらぬ。
出口も無いこの箱庭で、
いつまで逃げられるのか。面白いのう。
面白いのう！！》
『ﾊｧﾊｧ………ｯ、あっ！！』
天探《捕まえたぞ。くふふふっ。
美しいのぉ………その黄昏色の瞳。
どれ、見せてみよ》
神域からは逃げられない。
どこまで逃げても、最後には捕まる。
捕まるたびに味わうのは絶望だった。
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冷泉 雪桜(プロフ) - ネコマタさんのちょびひげさん» とても心に来る叫び、届きましたー！！いつもありがとうございます。今回は主人公の成長とバラバラになっていた本丸の刀剣達が一つになりつつある描写が書きたかったので、楽しかったですー！ (2021年8月31日 20時) (
レス) id: 18535e1a43 (このIDを非表示/違反報告)
ネコマタさんのちょびひげ(プロフ) - 鶴丸さん滅茶苦茶に体張ってましたね。いやみんなMVPですけれども!（ほんと誰目線なんですかねすみません）でも、腕とか目とかほんとドキドキしっぱなしでした…。なにせ白焔シリーズが……ハハッ。大好きですけどね!白焔シリーズ!!!ふう…。怒濤の長文失礼しましたっ! (2021年8月31日 20時) (レス) id: d3a88c7d37 (このIDを非表示/違反報告)
ネコマタさんのちょびひげ(プロフ) - はい、ほんとうに成長していました…。随分長く見守っていたからか、なんだかもう親のごとく号泣させてもらいました。（おま誰目線や）…詩重ちゃん、ほんとうに良かったねえええ!幸せにね!これからも見守らせてね! (2021年8月31日 20時) (レス) id: d3a88c7d37 (このIDを非表示/違反報告)
ネコマタさんのちょびひげ(プロフ) - 冷泉 雪桜さん» はっ、長谷部ええええ!!!!叫んでごめんなさい!!!でもこれは叫んでもいいですか!?なんだかほんのり……あれっ!?思い出しかけてるような……。やはり別個体の神域のなかで、共に別個体の鶴丸と神域仲間の大倶利伽羅がいたからでしょうか…… (2021年8月31日 20時) (レス) id: d3a88c7d37 (このIDを非表示/違反報告)
冷泉 雪桜(プロフ) - ネコマタさんのちょびひげさん» 本当は、神隠しが何よりも怖いものなのに、それを承知でやった所がとても彼女の成長を感じますね。 (2021年8月27日 21時) (レス) id: 18535e1a43 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：冷泉 雪桜
| 作成日時：2021年8月16日 11時
